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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第14巻【燃え】

71 名前:ミニ文章 投稿日:2015/04/01(水) 00:58:17 ID:uT6N/K4o
18禁のほうが進まないから気晴らしに書いた
パロディ入ってます
主観の主は男ローグです。てか見事にシーフ系しか出てないわコレ。
>68-69とリンクしてます

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

楽しそうだな、と思って眺めてた。
同じギルドのアサシン2人が切り結んでいるのだが、鍛錬どころか試合にすらみえない。
男のほうが顔をマスクで半分以上隠しているが、口元や雰囲気から楽しんでるとわかるし、女のほうはわかりやすく笑顔だし、目が輝いている。
宙返りから着地した女アサシンが勢いを殺さず、低い姿勢で疾走する。手にはカタール。
対して、男アサシンは剣を鞘ごと後ろに構える。
居合切りの構えだ、………っておい。

(いや剣で居合切りするなよ。刀じゃねーだろ)

その間合いへ女アサシンが大きく飛び込む。
剣が真横に、胴を凪ぐように振られる。
が、女アサシンの体が宙で回る。
その脇腹を剣が撫でる直前、姿が消える。

「…くだらないっ」

バックステップで大きく後ろへ跳躍。
だが彼女の回転は止まらない。
さらにバックステップ。

「なんて、くだらない」

男アサシンの背後へ着地。
居合切りの勢いを殺さぬまま、男アサシンも身体ごと剣を回転させている。

「口伝なんて、こんなものかっ!」

笑いながらソニックブロウを叩き込み、なにかを叫ぼうと口が開く。
同時に、こちらと目があった。

「うっわあああああ!?」
「あ、こら止まったらあかんて!」

ごすっ

驚いてる女アサシンの顔に、男アサシンの鞘がぶち当たった。
うわ痛そう。
へなへなへな、と額を抑えて地面につっぷす女アサシン。

「おー、珍しいお客さんやなー」

剣をぷらぷらさせ、男アサシンがマスクを外した。
よう、と片手で挨拶しながら、

「お前ら、なにやってたんだ?」
「んー、イメージトレースっちゅーか、再現っちゅーか、まぁ、お遊び?」

ダメだ、この飄々とした友人に聞いても無駄だった。
もっとわかりやすい反応をする女アサシンを懐柔しよう。
彼女は地面に座ったまま涙目でこちらを見上げている。

「どこからみてました…?」
「居合切りのとこかな」

う〜〜、とそのまま目を反らす彼女を逃がさぬよう、しゃがんで視線を合わせる。

「二人でなにやってたんだ?」
「ひ、ひみつの特訓、です」
「うん、ウソだな」

目が泳いでる。
ついでに気になってた点をきいてみる。

「いつもの武器じゃないのか」
「だって、カタールじゃないとアサ………ソニックブロウできないから」
「意味がわからん」

よし、奥の手だ。
露骨にがっくりと肩を落とし、

「なんだよ、俺には言いたくないのかよ……」
「ち、ちがいます! これは、その、ええと」

どうみても寸劇だが、慌て出す女アサシン。ちょろい。
よーし、あと一押し。

「じゃあ、教えてくれよ。二人でなにしてたんだ?」
「………い、」
「ん?」

優しく促すと、顔を真っ赤にしてこちらを見上げる。

「言えません、ごめんなさいぃぃぃッ!」

パッと彼女の姿が消え、走り去る音が聞こえた。
クローキングで逃げられたか。チッ。

「振られてんなぁ、強引に攻めるからやでー」
「ほっとけ。あとで謝りにいくし。
で、お前らはなにしてたんだよ。ちょっと教えろよ」

剣を鞘に収めながら、男アサシンは苦笑まじりにこういった。

「ある小説の真似っこしてたんよ」
「はぁ?」

ならば、さっきのは試合じゃなくて演武だったのか。
いやそれにしちゃ実戦の動きだった。
手をぱたぱたさせて男アサシンが笑う。

「俺とあの子の知ってる小説にな、アサシンキャラがおんねん。
んでな、『あの戦い、再現できないですかねー』って目をキラキラさせていうから、やってみとったとこなんよ」
「演武どころか、まじでお遊びだったのかよ、おい」
「さっきの『くだらない』ってセリフも、作中にあったやつや。
スキルの名前を叫ぶ直前にお前さんに気づいたから急停止したんやろ」

それになぁ、と意味ありげにニヤリと笑う男アサシン。

「なんだよ、気味悪いな」
「いやー、そのアサシンキャラが惚れとるキャラもおってな?
健気に『主君はかっこいいぞ』とか袖引っ張ったりしてアプローチしてんねん」
「なに!? ……が言いたいんだ」
「適役がいればもっと楽しめるんやけどなー、っていう独り言や」

憮然とした表情をつくる。
興味ねぇよ、と踵を返して立ち去る。

「ま、気が変わったらよろしゅーなー」

うるせーとっとと寝ろ、とニヤニヤする友の顔面に石を投げつける。
そういや彼女は明日図書館に返却にいくといっていた。
どうせ暇だし、誘ってみるか。
なにかオススメの本があれば、ぜひ聞いてみたい。

<おしまい>

72 名前:ミニ文章 投稿日:2015/04/03(金) 21:24:05 ID:lDc3ft2c
>71の男アサ視点
18禁のほうが進まないorz

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「小太刀が用意できればよかったのですけど……」
「あるもので代用すればええて。全部揃えたくなったらキリがないでー」

それもそうですね、と女アサシンがくすくす笑う。
ふと見上げると、夜空に星が輝いていた。
ここはギルドハウスの中庭。
主な用途は、憩いの場としてではなく、自分たちのように野外での戦闘訓練が多いようだが。
四方がうちのギルドの建物に囲まれているから、やりすぎなければ近所に迷惑もかからない。
まー、人目はどうしようもないが、さしたる問題ではないだろう。たぶん。

「念入りな打ち合わせは流れが止まりそうですから、ある程度はアドリブでいきましょう」
「せやな。致命傷にならなきゃなんでもええし」
「……すごく不穏な単語が聞こえましたが、ええ、軽傷なら問題なしです」

鞘ごと剣を腰にさす。
すべての武器を使いこなせてこそアサシン、といいたいが重心が偏る違和感が拭えない。
やっぱ短剣のほうがええなぁ、とぼやきながら、マスクで顔を隠す。

「カタールだと刺しやすい作りですね、私も短剣のほうが慣れてますから、」

うん、と力強く頷く女アサシン。

「これでお互い、条件は五分五分ですね」
「いや俺のほうが悪条件やて」

そうでしょうか、と屈託なく笑う彼女に肩を竦めてみせた。
スタート地点へ向かいながら、流れとゴールの最終確認をしあう。
といっても中庭を駆けて2往復するだけ。
その間にどれだけ詰め込めるか。

「準備はええか、『冒険者』?」

剣を抜き、芝居のかかった言い方をすると、彼女は無邪気に笑って頷いた。

「もちろんです。いえ、これじゃダメですね。
――無論だ、『殺人鬼』。いざ、参る!」

地を蹴り、二陣の風が激突する。


1往復目でうっかりツッコミそうになった。

(遊びというたのに、本気出しとるがな)

カタールは刺す武器だというのに、彼女は小太刀のように振ってくる。
それだけで数瞬の迷いがでる。予測がぶれる。

もっと苦戦させてくださらないと困ります、と遠慮なく刃が身体をひっかいていく。

舐めるなよ、と剣を凪ぐと、女アサシンがそれに合わせる。

しゃんっ、と金属が鳴った。

剣とカタールが滑り、互いを弾き合う。
その音に目を細める女アサシンに、

(寝る前の軽い運動じゃないで、これ)

ノリノリやなぁ、と苦笑を零しながら追っていく。


ゴール前になって、中庭へ入ってきた人物に気づいた。
同じギルドメンバーであり、友人のローグが怪訝な顔をして近づいてくる。
彼女に教えた方がいいかとか、中断して続きは後日とか、いやこれ密会ちゃうでとか、あれこれ考えた結果、

(ま、ええか)

面倒くさいから、放置しとこ。
女アサシンが身体を低くして燕のように飛び込んでくる。
居合で迎撃。
舞うように小柄な身体が2回大きく移動。狙いは背後か。
振り返らず、彼女の姿を追うように旋回する。振りぬいた剣より、補強された鞘が本命。
追いつめてトドメを刺そうとすれば、終劇だ。
なのに、女アサシンがこちらの背後をみて、動きを止めた。

「あ、こら止まったらあかんて!」

勢いついた鞘は、急に止められない。
ごすっといい手応えがあり、

「痛いですぅぅ……」

女アサシンが地面に突っ伏した。
痛がってるだけで怪我はないなら、問題なしやなー、とマスクを外す。
顔を押さえながら、しかしこちらをはっきり睨んで、彼女の唇が声なき言葉を紡ぐ。

――どうして教えてくれなかったんですか
――面倒だったからやでー

わかってたけど性格悪いです、と言いたげに口を歪ませているが、気配に気づかないほうが悪いに決まっとるやないか。

「二人でなにやってたんだ?」
「ひ、ひみつの特訓、です」

友人の詰問に女アサシンがとぼけようとして失敗している。いやほんま顔に出すぎやて。
夜風が吹いて、戦闘であがった熱を冷ましていく。
涼しーなー。
夜空を見上げて、目を細める。

もう一人のギャラリーは、出てこんのかいなー?

途端、屋上からこちらをうかがっていた気配が、ゆっくりと消えていった。
ギルドメンバーの誰か、ではない。
ふーん、うちみたいな弱小ギルドを偵察する暇人なんておるんやなー。
剣を鞘に収めて、彼女に逃げられた友人へ解説という名のからかいを実行する。

「そのアサシンキャラが惚れとるキャラもおってな?
健気に『主君はかっこいいぞ』とか袖引っ張ったりしてアプローチしてんねん」

正直、引用のセリフを『こうすると、気持ちいいぞ』と迷ったが、それ聞いたらこの場で友人に殺されそうやしー。
茶化しすぎて投げられた小石を避けそこなった。


今頃気づいたんやけど、もし終劇までいって、彼女にトドメを刺そうとしてたら、
……俺、ローグに後ろから刺されとったんちゃう?

<またどこかに続くかもー>

73 名前:ミニ文章(1/2) 投稿日:2015/04/07(火) 22:24:10 ID:tnykctHk
桜があまりに綺麗だったから。
といいながら桜が出てこない。

視点は前半は騎士、後半はプリーストです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まだ眠るには早い時間、だが狩りに行く気も起きない。

「どうしたものかな」

剣を鞘に収め、片づける。
武器や鎧の手入れを終え、本格的にやることがなくなってしまった。
せめて水でも飲むかとキッチンへ向かう途中、押し問答のようなものが聞こえてくる。

「どうしてもダメでしょうか」
「ええ、駄目です。理由はわかってるでしょう?」
「そこをなんとか」
「却下します」
「即答ですかッ」
「当然です。自室へ戻りなさい」

何事だろうか、とそちらへ向かうと、ギルドマスターのプリーストに食い下がってるアサシンがいた。
日和見なギルマスにしては珍しく渋い顔をしており、アサシンのほうもこれまた珍しく断られても諦めない。

「どうしたんだ、二人とも」

そう、珍しい光景だったから声をかけただけだった。
こちらに気づくと、ギルマスは眉をひそめ、アサシンは嬉しそうにこちらへ駆け寄ってきた。

「いいところへ来てくださいました、リチャードさん!」

そういってアサシン――セラフィーナは俺の左腕にしがみつく。

「いったい何事だ」
「リチャードさんが同伴なさってくれるなら、いいですよね、紅男さん」

こちらの問いに答えず、プリーストに勝利宣言のように告げた。
プリースト――紅男は「うーん」と腕を組む。

「条件があります。それをリチャード君が了承するなら許可しましょう」
「……ギルマス、まずは説明してくれ。じゃないと判断もできん」
「ギルマスじゃなくて紅男って呼んでね、リチャード君」

いつもの困ったように笑いながら、紅男が告げる。

「セラフィーナさんがね、夜桜見物に行きたいんだってさ。でも夜に女の子の独り歩きは危ないから、行かせたくないんですよね」
「過保護もいいところだな、ギルマス」
「ギルマスじゃなくて紅男ね、リチャード君」
「リチャードさんがご一緒してくださるなら、夜桜見物にいっていいですよね?」

嬉しそうなセラフィーナへ、「条件があるけどね」と付け足すギルマス。
いや俺はまだ同伴するとも言っていないのだが。
仮に、断ったらどうするんだろう。
おそらく――これはあくまで想像だが。
肩を落として、「仕方ないですよね」といいながら、ぎこちなく笑おうとす……これ以上は駄目だ。罪悪感で苦しくなってきた。
ただの想像だ、俺は断っていない、と己に言い聞かせ、

「条件とは、なんだ?」
「手をつないで、絶対に離さないこと」

思わず呼吸が止まった。
茶化されたかと笑おうとして、ギルマスの真剣な表情に、今度こそ言葉を失った。
過保護どころじゃないだろう。何故だ。

「紅男、そこまでする理由はなんだ」
「なにかあってからじゃ遅いから」

即座の返答は硬い響きをもっていた。
妥協案はありえない、と。

「これは僕ができる最大の譲歩だよ。できないなら、外出の許可は出さない」

暗に「これ以上詳しくは言えない」と釘を刺されたように感じた。
彼女のギルド加入は、訳ありなのか?
重ねて問おうとすると、くいくいっ、と袖を引っ張られる。
思わずそちらをみると、嬉しさを堪え切れないようにセラフィーナが微笑み、

「手をつないで夜桜見物なんて、まるで恋人同士みたいですね」
「〜〜〜ッ! す、清々しいまでにマイペースだな、セラフィーナ。というか君の話なのにその態度はなんだ。この口か? この口が悪いのか?」
「い、いひゃいです〜、にゃ〜っ! い、いきなりほっぺた引っ張らないでくださいっ、横暴ですよ!?」
「はいはい二人ともじゃれ合わない。 で、条件飲むの?」

悩んでるのがバカバカしくなってきた。
わしわし、とアサシンの頭を撫でながら、

「あまり時間を掛けないし、決して手は離さない。セラフィーナの護衛として同伴しよう」
「うん、問題ないよ。それなら許可するから」
「うーん、デートっぽさが消えてしまいましたね。って待って待って、リチャードさんまたほっぺた伸ばそうとしないでください調子に乗りました御免なさい御免なさいぃッ!」

74 名前:ミニ文章(2/2) 投稿日:2015/04/07(火) 23:32:21 ID:tnykctHk
賑やかに二人が出かけていった。
プロンテラの大通りが桜並木になっているから、往復して戻ってくるコースだろう。
人通りも多いし、まだ大勢の目がある時間だ。

「って、心配しすぎかな」

扉をノックすると、中から返事があった。

「僕だけど、入っていいかな」
「ん。」

扉をあけて入室すると、アルケミストが忌々しそうに紙の束をめくっていた。

「率直に言うとだな、紅男」
「うん」
「無理だ」

やっぱりかー、と天井を仰ぐ。
予想はしていたが、はっきりいわれると、さすがに諦めが優る。

「材料は6割判明したが、薬品以外も使われていた。魔力反応もあったくらいだ」
「さすがだなー、ヘルトルド君」
「これ以上は辿れない。回復手段も手詰まりだ」
「やはり時間経過しかないか。助かったよ、僕じゃなにもわからなかったから」

自嘲気味に告げると、アルケミスト――ヘルトルドは視線を鋭くする。

「あのな、俺も結局はわからなかったんだぞ?」
「薬の知識が高い『専門家でもわからない』ということがわかったんだ。
特効薬が作れないなら、人間のもつ回復力に僕は望みをかけるよ」
「そうか」
「ヘルトルド君、ありがとう」
「ん。」


<了>

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