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【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第14巻【燃え】

1 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2007/06/15(金) 17:18:15 ID:0fDIHQ5k
このスレは、萌えスレの書き込みから『電波キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』ではない萌えな自作小説の発表の場です。
・ 共通ルール(ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1063859424/2n)
・ リレー小説でも、万事OK。
・ 萌えだけでなく燃えも期待してまつ。
・ エロ等の18禁小説は『【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ』におながいします。

▼リレールール
--------------------------------------------------------------------------------------------
・ リレー小説の場合、先に書き込んだ人のストーリーが原則優先なので、それに無理なく話を続かせること
・ イベント発生時には次の人がわかりやすいように
・ 命の危機に遭遇しても良いが、主人公を殺すのはダメでつ
・ リレーごとのローカルルールは、第一話を書いた人が決めてください。
  (たとえば、行数限定リレーなどですね。)
--------------------------------------------------------------------------------------------
※ 文神ではない読者各位様は、文神様各位が書きやすい環境を作るようにおながいします。


前スレ【萌え】みんなで作るRagnarok萌え小説スレ 第12巻【燃え】
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1136792603/l50

保管庫様
ttp://f38.aaa.livedoor.jp/~charlot/pukiwiki/pukiwiki.php

25 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/04(月) 10:28:45 ID:HBE5IPFE
なんの名前もないただの草原。
その草原に紛れるように一本の剣が刺さっている。
美しいまでに磨かれた銀の刀身には、大小様々な傷が刻まれていた。
この剣を知る人は偉大なる英雄の剣だという人もいるし、また在る人は王族の剣だとも言う。
それらは全て間違いではなく、正解でもない。
この剣の持ち主は最後まで気高く、誰よりも優しかった騎士の中の騎士。
しかし、誰も彼を知る人は居なかった。
今この剣の前に老婆が静かに佇んでいる。
紫の法衣から覗く幾重にも刻まれたシワだらけの顔は優しげで、その人がどんな人でどんな人生を歩んで来たのかは想像にかたくない。
「あれから20年、本当に色々な事がありました」
細い喉から紡ぎ出された声は柔らかな風に乗って剣へと届く、それは諭すようでもあり語りかけるようでもある。
剣は何も語ることなく、朝日を浴び美しく輝く。
鳥の鳴き声だけがまるで老婆への返事だと言わんばかりに草原に響いた。
「貴方が最後に遺したように、私は精一杯生きました。」
老婆は瞳を閉じ、ゆっくりと再び語り始めた。
もしかしたら今までの人生を振り返っているのかも知れない。
「楽しかったこと、苦しかったこと本当にたくさんありました」
剣の持ち主が健在だった頃、老婆と剣の持ち主は夫婦だった。
最初はふとした出会いだったけど、多くの出会いや経験を通して結ばれた二人。
誰に対しても優しくそして美しい女性と、人をからかうのが好きで周りを楽しませた男性。
決して楽しい事だらけでの人生ではなかった、逆に苦しい事の方が多かったと彼と歩んだ人生を振り返りながら老婆は思う。
「でもね、私は貴方の妻になれて幸せでしたよ」
まるで愛おしい人に愛を囁くように老婆が皺だらけの顔で剣に微笑む。
「もうすぐ貴方の傍にいけそうです」
ゆっくりと老婆は剣に近寄りもたれかかる。
老婆の細い体を受けても尚、剣は倒れることなく。
老婆を支えようと地面に強く突き刺さったまま微動だにしない。
「また会えた時は、私を貴方の妻にしてくれますか?」
やがてその言葉を最後に老婆は長い眠りを迎えた。
長い長い眠りについた老婆の寝顔は余りにも穏やかで、微笑さえ浮かべている。

26 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/04(月) 10:30:14 ID:619Nae3o
老婆が目覚める事はもうないだろう。
彼女は愛する人の元へ行ったのだから。


気が遠くなるほどの長い月日が経過した。
草原だったこの場所にもやがて整備され新しい町が建ち、多くの冒険者が行き来している。
何もかも変わってしまったが、変わらないものもあった。
あの剣とその横に建てられた小さなお墓。
長い月日が経ったけど相変わらず剣は美しく、すぐ隣にある墓は毎日掃除されているのであろう事が分かるほど整っている。
「もしかして泣いているのか?」
この街に着き、この街のシンボルとも言える有名な剣を見た瞬間、ピンク色の法衣を着た少女がいきなり泣き出した。
何故泣き出したのかも分からないし、泣かすような事をした覚えのない少年だったが戸惑いつつも少女の肩を抱き寄せ頭を撫でる。
「ぐすっ……悲しい訳じゃないんだよ?でもこの剣みたら、なん、か涙が止まらなくて……」
ごめんね、ごめんねと謝りながら泣く少女を、仕方ないなぁと呟きながらも少年はよりいっそう強く少女を抱き締めると。
抱き締められた少女も弱い力で精一杯返した。
もう離さないといわないばかりの抱擁をしながら苦笑まじりの顔で少女を見る。
少女が何故泣き出したのかは検討つかないが、少年は奇妙な感覚を感じていた。
「う〜ん、なんか俺。以前ここに来た気がするんだよな……」
今日初めて来た街なのにおかしいなと少年は思う。
未だに泣き続ける少女を抱き締めながら見上げた空はどこまでも青く。
草原の香りを含んだ風が吹き抜けた気がした。


<The End>

27 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/14(木) 03:22:22 ID:iJvXoDBk
思いついたので投下致します。
乱文お目汚し失礼。


・季節モノ

前兆はグラストヘイム騎士団にて。
「っくしゅん」
前を進んでいた彼女が突然くしゃみをした。
「風邪か?」
「大丈夫、ちょっと鼻がむずむずするだけ」
グスッ、と鼻を啜り答えた。
「ここ最近特に寒いから気をつけてな。
まー、今日は大事を取って早めに切り上げようか」
同意するように彼女の騎乗したペコペコがクェーと鳴く。
それを見た彼女は少し笑って答えた。
「そうね〜。今日は早く帰るとしましょうか!」
「あいよー」
ワープポータルを開き、彼女が先、俺が後で乗り街に戻る。
二人で簡単に清算を済ませ今日はお別れ。
「「また明日」」
帰り道に吹く風は冷たく、今日の夜も寒くなる事を伝えていた。


帰り道、空気が痺れるように冷たくてペコの背にもたれながら暖を取る。
彼に言われたからと言う訳では無いけれど、少し前からぞわぞわと寒気が身体を舐めていた。
「風邪かなぁ」
ペコに聞いてもクェーと泣き声が帰ってくるだけ。
「早めに帰って休みましょうか」
またクェーと鳴いてペコは少しだけ歩調を速めた。
暫く前から取っている宿の厩舎にペコを繋ぐ。
「お疲れ様。また明日ね」
ペコの頭を撫で私は宿の中へと足を向けた。
厩舎は旅人が使う馬や驢馬、同業者が使うペコなどで賑わっている。
私のペコもさっそくのおしゃべりを始めたようでクェクェと鳴き声が聞こえてきた。
部屋に入ると狩りの緊張が解けたのかどっと疲れが押し寄せる。
いつもはきちんと装備品などを片付けるのだけどだるさが先に立ち、
(明日片付けよう)
まるで子供がするように装備品を放り投げ、服と鎧を脱ぎながらベッドに向かう。
のそのそと寝巻きに着替えて私はベッドに入った。
「おやすみなさい」
誰に言うとでもなく呟いて、目を瞑る。
少し冷たい布団が体温と同じ温度になる頃には私は眠りに落ちていた。


『ごめんなさい。体調が悪くて今日は狩りに行けそうにないの』
朝、狩りの準備をしていると彼女から念話が入った。
『どうした?やっぱり風邪?』
念話では相手の体調までは分からず、昨日の事も気にかかっていた。
『多分ね。すぐ直ると思うから、それまでは臨時パーティーにでも行きながら待ってて』
『了解。悪化しないように気をつけてな』
『はいはい。あなたも風邪引かないようにね。じゃあ』
念話が終わって手持ち無沙汰になった俺は準備の途中だった荷物を取り出して鞄の中身を軽くする。
たまには狩り以外の過ごし方もいいだろう。
あれこれと買うものを頭に思い浮かべながら部屋を出た。


朝起きるとまず身体のだるさと熱っぽさを感じ、
それでもなんとか身体を起こすと喉の痛みと出てくる鼻水に風邪を引いたんだと思い知らされた。
狩りの中止を念話で告げたまではよかったものの、食料を調達するのもこのままではままならない。
(寝てれば直る!)
と意味のない自信を持ってベッドに潜り込み、目を閉じて熱っぽい眠りに落ちる。


風邪には何が効くだろうとギルドのメンバーと話しながらプロンテラの首都を歩く。
【天津にはいい料理があるぞ】
みんなの知恵袋的な我がギルドマスター(天津人)の提案にメンバーみんなが
それがいいと言い出し、俺も作るぜ!なんて声も聞こえて来る。
【まずは土鍋を用意してだな・・・】
マスターのナビゲートに従って必要な物を揃えた上で+αを用意した時点で既に時刻は正午に差し掛かろうかとしていた。
【んじゃ、いってくる】
食材と土鍋で一杯になった紙袋を抱えて彼女の部屋へ向かった。
【グッドラック】(親指を立てる的な意味で)
【がんばれー】(・・・的な意味で)
【うるせぇよ。んじゃ切るぞ】
メンバーたちの笑い声が響くギルド会話に捨て台詞を吐いて会話を切る。
何がガンバレだ馬鹿馬鹿しい。
狩りの相棒の見舞いをして何が悪かと!
てくてくと歩くうちに彼女の泊る宿に着く。
ノックをしていることを確認する。
1回。
・・・出ない。
2回。
・・・出ない。
3回。
さすがに帰ろうかと思った所で中から物音が聞こえてくる。
びたんという音と何か硬いものが転がる音。
少し間を置いて、ドアが開いた。


風邪のぼんやりした頭でドアを開けると何かが詰まった紙袋を抱えた見慣れた彼の顔が。「やぁ、どうにも暇だから見舞いに来たよ」
成る程、道理で紙袋を抱えている訳だ。
買い物にもろくに出かける事の出来ないこの状態にはとても有り難かった。
「入ってもいいかな?」
何も言わないのを肯定と捕らえたのかそのままするりと廊下に入り込んでくる。
何だ、その聖職者とは思えない身のこなしは。
と、そこで部屋の惨状を思い出して引き止める。
「あ、待って!」
時既に遅く、彼はキッチンを兼ねた廊下を通り過ぎ部屋の中に入っていた。
「あらまー」


まるでおばちゃんのような調子で呟いた俺の言葉に彼女はバツの悪そうな顔をした。
部屋の中は入り口からベッドまで防具や衣類が点々と続き、その両側には盾や槍が放り投げられて、とても年頃の女性の部屋とは思えない惨状になっている。
「・・・今、片付ける」
のろのろと衣類を拾い始める彼女を手伝う為、まずは槍を拾い上げる。
「槍と盾はいつもの場所でいいか?」
こくり、と頷くと彼女は衣類と鎧をクローゼットに押し込み始めた。
俺はその間に槍と盾を定位置に置く。
「散らかっててごめんね」
熱のせいか、羞恥心か顔を真っ赤に染めて謝られる。
「っくしゅん!」
くしゃみを一つ、鼻水も追加で出たようでティッシュティッシュと鼻を拭く。
「それはいいから寝てろって。何か暖かいものでも作る」
食材を入れた紙袋を抱えてキッチンへ
「ありがとー」
そう呟いた彼女はベッドに横たわった。


キッチンに向かった彼にお礼を言ってベッドに寝転ぶ。
熱に浮かされてぼーっとした頭は何も考える事が出来ず、料理の音を聞きながらまた眠りに落ちた。
布団の上から揺すられて起きるといい匂いがした。
「たーんとおあがり」
ベッドの脇に置かれたサイドテーブルには湯気を立てる土鍋が置かれていて、朝から何も口にしていない私の食欲を刺激した。
サイドテーブルの前に移動するためベッドの端に腰掛けると箸を渡される。
「これは?」
見たことのない料理だ。
箸を使うのは天津の料理に多い。
「うちのマスターオススメの天津料理だ。冬になると天津の人はこれを食うらしい。頂きます、と言って食おうな」
手を合わせるジェスチャーの彼に習って手を合わせ
「いただきます」
と、料理に箸を付ける。
前に龍の城で食べた麺料理に似ているけど、麺が太い。
慣れない箸に苦労しながら一本口に入れた。
美味しい。
龍の城の麺料理とは違った味付けで言うなれば天津風?
空腹も手伝って、私はそれを夢中で平らげた。
お腹が一杯になるとまた眠気が襲ってきて、また眠りに落ちる。
今度は彼もいる安心感と満腹感から幸せな眠りが訪れた。


真夜中に目が覚めた時には幾分か身体が軽く、頭もすっきりしていた。
周りを見ると椅子に座ったまま器用に寝る彼の姿が。
部屋の何処からか引っ張り出したらしい来客用の毛布を被っている。
外に出ている顔が寒いのか時折顔まで毛布を被り、息苦しくなったのかまた顔を出すという事を繰り返していてまるで亀のようだった。
寒そうな彼にホットミルクでも振舞おうかと考え、ミルクを暖めにキッチンに向かう。
そこで今日の日付を思い出し、一つ閃いた。
ミルクを少し小鍋にかけて温まるのを待つ。
運良く買い置きしてあった板チョコを入れて完全に溶けたのを確認してまたミルクを入れてまた温まるのを待つ。
二人分のカップにそれを注いで私は部屋の中に戻った。
相変わらず彼は亀のようにしながら眠っている。
サイドテーブルにカップを置いて起こそうと近寄ると唐突に彼が目を覚ました。
「ん、起きて大丈夫なのか」
目を擦りながら欠伸をする姿が微笑ましい。
「朝よりは大分楽になったよ。それよりもあなたのその状態のほうが心配なんだけど」
椅子で寝たせいで凝ったのか首をゴキゴキ鳴らして再度欠伸。
「はい、これ。暖まるから飲んで」
まだ湯気が立ち昇るカップを彼に手渡して、私は自分のカップに口をつけた。
少し冷えて来た身体に暖かい甘みが心地よい。
彼も口を付けて何を渡されたのか気がついたみたい。
「ホットチョコか」
美味しそうに更に口を付ける彼。
ふーふー、と中身を冷ましながら美味しそうにカップの中身を空ける様子に少し嬉しくなる。
「一応手作りだからね。味わって飲むように」
「あいあい。久々に飲んだけど美味いなー」
ニコニコとチョコドリンクを飲む彼は分かっていないようで・・・
「さて、今日は何の日でしょう?」
彼はきょとんとした顔で私を見る。
「今日?」
そこでやっと壁かけのカレンダーを見て
「あぁ、あー!そうか、バレンタインか!」
やっと気が付いたか。
呆、とカレンダーを見つめる彼とにんまりと笑う私。
「ハッピーバレンタイン」


以上。
季節にちなんだ流行りモノのお話でした。

28 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/14(木) 07:20:28 ID:VvRD.beU
可愛いお話ですね。
彼の毛布にくるまってる様子にニヨニヨ(´ω`*)

29 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/21(木) 20:06:07 ID:4dbL4JaU
下がってるのがもったいないので、ageちゃいますね。

ああ、私も短編が書きたい……、でも自分の中の引き出しに何も入っていない。

30 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/21(木) 20:07:23 ID:4dbL4JaU
なんで上がらないんだろう、とか思ってしまった……。失礼しました。

31 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/02/25(月) 02:35:45 ID:v/Uo7A5w
GJ

32 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/12(水) 06:23:07 ID:qd1YCFms
最近ここに来たばかりの新参なわたしですが、思い切ってスレの皆さんに質問させて頂きたいことがあります。
まえに友だちに紹介されて読んだRO小説で、一作どうしても忘れられない作品があります。
主人公らしき騎士が天津から出てきた女の剣士とヴァルキリーレルムで決闘する話で、バーサクの効果で動けなくなった騎士のほうが、『しばらくバーサクは使えない』って言って終わる作品なんですが。
こちらの保管庫を漁らせてもらったんですが、それらしき作品も見当たらず困ってます。
もしご存知の方いらっしゃったら、お手数ですが教えてくださいOTL

33 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/12(水) 12:24:48 ID:8hJmBPns
>>32
あなたの求める小説はここにはありません。別の板の作品だと思います。
ここをチェックしてる人は、向こうのスレも見てると思うのでURL載せますね。
ぜひ他の作品も読んでみてください。

たぶん、これの2番目じゃないかなと。
ttp://gemma.mmobbs.com/test/read.cgi/ragnarok/1171015950/157

34 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/12(水) 23:48:40 ID:qd1YCFms
>>33さん
ああ、この作品です!ありがとうございました!
それから、スレ違い(?)失礼いたしましたOTL

35 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/03/17(月) 16:47:51 ID:2nAbuTss
久しぶりに577氏の小説を全部読みたくなったんだけど……。
引退しちゃってHP閉鎖の上にエロ部分しか保管庫にないorz
どこかに全部保管しているような場所はありませんかね?

36 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/15(火) 09:49:59 ID:fVuv1ljo
ROの短編小説みたいなものは、大学の授業中にこっそり書いている俺。
勝手な妄想と位置づけてめちゃくちゃなことをさせてます。

しかし、今書いてるのが生体3Fネタでしかも萌要素皆無とかスレ違いもいいところでしたわ。
ちょっと釣ってくるlllorz

37 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/17(木) 15:16:29 ID:sP0bDo8s
キス程度なら18禁のほうじゃなくこっちに投下なのか?

昨夜練る直前に電波キターな感じで勢いに任せて書いたものの。
18禁のほうにしか投下したことがないものより。
ちょっとガンプチかってくらぁ。

38 名前:Witch hezel 投稿日:2008/04/17(木) 16:49:12 ID:sP0bDo8s
 宿に帰り、今日の収集品や稼ぎをベッド脇のボードに置く。
 早速シャワーでも浴びよう。 そう思い立ち重い甲冑をはずし、着衣を脱ぎ始める。
 ブーツの中に、白い砂がたまっていた。
 ああ…これはあの時の…。


 思い返せば枯葉が落ち、次第に冬支度を始める季節。
 その日俺はソロに狩りに励んでいた。
 あと少しでレベルが上がるな…。
 その時。

『はじめまして、今日からこのギルドに入りましたアヤです』
 と、ギルドメンバーにしか聞こえない声で挨拶をする人が居た。
『あ、君がマスターの言ってた新人さんかな?』
『そうです、あと少しでハンターだなあって思ってた時に狩場で声をかけられて。
 支援さんとか多いんですね、このギルド』
『うん、組めるようになったら誘うといいよ』

 俺は献身型クルセイダーなので、時々誘われることがある。
 誘われたら行くけれども、それ以外の時はほとんどをソロ狩りをしていた。
 自分が頼りにされた時はうれしい。
 けれど、それに慣れすぎてはいけないと思うからだ。


 アヤはアマツ出身らしい。
 ミッドガルド周辺では見ない、サラサラで漆黒の髪。
『私の国では春になるとサクラって木の下で宴会をするんですよ』
『そうなんだ?』
『ええ、なんでも宴会をしていると神様が集まってくるから、願い事をするというのが由来らしいです』
 お互いソロをしながら、他愛のないおしゃべりをした。
『いつか行きたいですね』
『ああ、みんなで行こう』
 そう返事しながらも、サクラには興味があった。
 それ以上にアヤの気さくな性格に惹かれつつあったせいもあり、その日が楽しみだった。


 ギルドには規則がある。
 お互い大人だから性交渉するのはいい。
 しかし痴情のもつれでギルドの空気を悪くするような恋愛沙汰を起こしてはいけない。

 さすがに俺でもいくつかの恋があり、別れていった経験がある。
 その度に寂しさは残るものの、仕方がないと諦めることが上手になっていった。
 彼女らに言わせると俺は、与えることは出来ても求めない性格からか、物足りなくなるらしい。
 甘えるのは正直苦手だ。 失うのが怖い、そう思うからかもしれない。


「ミケ!」
 溜まり場でボケーっとしていたらしい。
「…アヤ、いい加減人をネコみたいな呼び方するのやめてくれないか?」
「いいじゃん、ミゲールだからミケで。
 ミケ可愛い顔立ちしているんだし」
「……」

 俺の名前は出身地の読み方で『ミゲール』という。
 国によっては『ミカエル』とか『ミハエル』、面白いのだと『ミシェール』なんていうのもある。
 顔立ちの事は散々言われていた。
 黒髪に優しげな顔――― 一見、女性に見えるほどの―――に童顔なので、
「その筋」の趣味を持つ奴らに声を何度かけられたか。
 一生懸命年相応に見えるように、ミニグラスをかけてみたりした。

「あんまりボーっとしていると…ミカいっちゃえ!」
 そういうとアヤの頭上を飛んでいる鷹―――ミカという名前をつけたらしい―――が俺の頭を攻撃する。
 あまりの事に俺はグランペコの上から落ちてしまった。
「あははっ、ミケ落っこちてるー!」
 ケラケラと笑うアヤ。

39 名前:Witch hezel 投稿日:2008/04/17(木) 16:51:45 ID:sP0bDo8s
 気さくな反面いたずら好きで。
 この前も俺が久々に臨時でもしようと広場に行った所、後をついてきていたらしく。
 アヤの仕掛けたトーキーを踏んづけた俺は、大衆の面前で顔から火が出るような自己紹介(?)をされてしまった。


「ねぇミケ」
「だから『ミケ』は止めろといってるだろうが」
 リンゴジュースを飲みながら二人で何気なくたたずんでいた。
「…キス…した事ある?」

 ぶっ!
 いきなりそれかよ…。

「当たり前だろうが…俺をいくつだと思ってるんだ」
「そっか。
 …じゃあキスしようか」
「…は?」
「いいならいいよーっだ!」
 イーっと睨み付けると立ち上がり、溜まり場を後にしようとする。
「いいのか?俺で?」
「ん…いいよ」
 そう言うと俺に近づき、軽く唇を合わせた。


 それから、たびたび人目がないところでキスを交わした。
 何度も。 時々舌を絡ませるようなキスもした。
 けど、恋人ではない。 そんな関係が続いた。


 ある日龍の城へ保護者としてついていくことになった。
 ヒールが使えるわけでもないので、最初は土精やマンフィスにプロボックをかけていた。
 が、アヤの逃げうちやダブルストレイフィングですぐ倒せることもあり、緊急時の露払い程度だった。
 グランペコから降り、徒歩でアヤと一緒に駆けて行った。

 海辺で休憩する。
 土地柄か、いつ見ても茜色に染まる海が綺麗だ。
 ぼんやりと、立ちながらその景色を見ていた。
 その刹那。
 どんっ!
「いたたた…アヤ何するんだよ」
 不覚にも前方から突き飛ばされ、仰向けになる。
「ほら。―――空が綺麗」
 そう言うとそらを愛しい様に見つめる。
「本当だな」


「ねね、もう公平組めるしオットー海岸でも行かない?」
「アヤ、回避は足りてるのか?」
「ん〜大丈夫だよ、いざとなったら罠かければいいし。
 それに、じゃーん!」
 誇らしげにヒップバックから取り出したそれはヒールクリップだった。
「良く買えたなあ…」
「うん、臨時で超レアが出て、貯金してたのとあわせてようやく手に入れたのー。
 これで回復剤いらずってことね!」
 そういうと長い髪を両側から一房取り、ヒールクリップを使ってまとめた。
「ほら、行こうよ!」
 にこっと笑うやいなや、走っていった。
「ちょ…待てよ!」
 俺はグランペコにまたがると急いで出発した。


「わー、なんかいい感じの風景よね」
 青い空。 広がる海には波しぶき。
 今は冬真っ盛りだというのに、ここだけは常夏の気温だった。
 …リゾート気分で来る様な所ではないとは思うが。

「早速オットー発見! いっくぞー!」
 走り出すアヤに急いで献身をかけ、グランペコを並足から早足にして着いて行く。
 罠をかけ、うまく処理していくアヤ。
 普段あまり飛ばないと言っていた鷹も、今日は良く飛んでいく。
 俺が一撃突付く間もなく、アヤ一人の力で次々と倒していった。

 何十匹狩っただろうか。
「あれ?罠が使えない…」
 そう呟いたアヤの背後に大量のオットーがわいた。
「後ろに下がれ!」
 急いでオットーを片手剣で切り裂いていく。
 逃げそびれたアヤに襲いかかろうとするオットーを追いかけ、斬る。

 なんとか倒し終え、一息つく。
「アヤ…常時ヒールクリップをつけてると、スキル使えなくなるぞ?」
「…みたいね、説明をよく読んでなかった」

 『スキル使用時、SP消費量が25%増加。』

「まあ注意しなかった俺も俺だが…どうするか?まだ続ける?」
「ん…なんか疲れちゃったし、ハイスピードポーションも切れたし。
 帰ろう…」
 眠たげな表情のアヤ。
「判った」
 ふらふらとするアヤをグランドペコに乗せ、二人乗りする。

 規則では禁じられている行為だが、アヤも眠たそうだし…大目に見てもらおう。
「わー、ミケって普段こういう風景見てるんだね!」
 グランペコで駆けていく速さと高さで、ちょっと興奮気味だ。
 風を斬る走り。 その時アヤの長い髪がなびいた。
 甘い花のような香り。 少しドキッとした。


 ―――そうだ、あの時の砂だ。
 なんとなく懐かしく思った。

40 名前:Witch hezel 投稿日:2008/04/17(木) 16:52:55 ID:sP0bDo8s
 数日後、俺は思い出したかのようにアヤが欲しがっていた赤いリボンを持って溜まり場へ向かった。
 実用装備を買い揃えるのが先、と言っている割には露店を見ては
「いいな…」
 と呟いているのを覚えていたからだ。
 …どんな顔をするかな、そう思うと胸が高鳴った。

 アヤは居ない。 ギルド名簿を見ると、そこには確かに居ると記されているのに。
 まあいいか…そう思い、グランドペコから降り、近くの木に手綱を縛ると、疲れが出て…。

「…ケ…ミケ」
 ?…アヤ…か?

「あ、やっと起きた。
 こんな所で寝てると風邪ひくんだから」
 上にぼろマントがかけられていた。
「ん…ありがとう…」

 顔を洗おうと溜まり場の近くにある宿屋の洗面所を借りに行く。
 …なんだ、あいつら俺の事を見てくすくす笑ってる。
 指を差してるものまでいる。
「@*#:・…!?」
 急いで「それ」を落とすとアヤのところに駆け寄る。

「あー、おかえり。
 似合ってたのにー」
 にやにやと笑う。

 寝ている間に化粧品と染料で化粧&「可愛いでしょ?」と書き込まれていた。
 いつもの悪ふざけならまだ許せる。
 けど、限界だ。 怒りをぶちまける。
「おま…いい加減にしろよ!」
「え?何でそんなに怒ってるの?
 ミケ可愛いかったのにぃ」
「やっていい事と悪いことに区別ぐらい、つくだろうが!」
 そういうと背中を向け、溜まり場から去ろうとした。

「ミケ…ごめん」
「……」
 付け上がられても困る。だから放って置いた。
「ごめんね」
「……」
 小声になる。
「ごめんなさい、もういたずらはしないから…」
 …許そうか、と思って振り返った時。
「……」
 諦めたように、うつむいて溜まり場から出て行った。
 胸がチクン、と痛んだ。


「ミゲール、それきっとアヤのことが好きになってるんだよ」
 ギルドメンバーのユーリ―――ギルドに入ってからの親友で、
腹を割って話せる仲のブラックスミスだ―――に、今までの事や、胸の痛みを相談した。
 その答えがこれだ。
「そっか…」
 判りきっていたことなのに。

 いつの間にか、本気で好きになっていたようだ。
 そういえばふとした時に肩をすくめて困った表情を見るのが、少し怖かった。

 もし、いつものように付き合い、そして別れたら。
 再び誰かと恋に落ちた時に、思い出しそうで…怖い。

 この感情を忘れていく事が成長していくことだとしたら…俺はずっとこのままで居たい。

<END>

41 名前:Addicted To You 投稿日:2008/04/19(土) 09:13:01 ID:zTNmg45w
 それは修練を積みにウルフ森と呼ばれるところに行った時の事だった。

 5匹のウルフに囲まれ、齧られ、嬲られているアコライトを見かけた。
「どうする?助けよっか?」
 わたしの呼びかけに大きくうなずく。

『バッシュ!!』
 何度か連発し、退治することが出来た。
 へなへな…と倒れこむアコライト。
「大丈夫? キミ?」
「ええ…何とか大丈夫…ありがとう…」
 そういい残すとわたしの腕の中に倒れこんだ。


「よっ…と」
 とりあえず背負う。
 わたしが常宿にしている部屋に彼を運ぼう。
 女の子かと思うぐらい軽い。

 …最近はウルフを倒した時にたまる修練の値が上がったことにより、こんな感じの人を見かける。
 素直にハエなりテレポートしてくれればおいしく処理するんだけど…。


 無事到着。
「あらアリサ。
 倒してきたモンスターにしては大きなものね」
 ケラケラと宿の店員が話しかけてくる。
「ん…冗談はともかくドア開けて」
「はいはい…食べ物も運ぶ?」
「うん、わたしのはいつものセットで、この子のは…消化が良くて滋養があるのがいいかな」
 半ば引きずるように運ぶ。

「あ…僕…」
「目、覚めた? まだあったかいしとりあえずこれでも食べて」
 野菜がたくさんのスープ。 十分おなかいっぱいになるぐらいだ。
 ベッドから上半身を起こし、スープに口をつけている。
「おいしいですね」
「うん、ここの宿は安いのに食事つきで、かつ美味しいから気に入ってるんだ」
 わたしはパンをちぎり、黙々と食べ続ける。

 食べ終わった彼がわたしの方をじーっと見つめてる。
「ん?どうしたの?」
「ありがとうございます! …これお礼に…って言っても少ないけれど」
 取引用のトレイにイチゴ5個と少しのにく、化け物のエサを彼が置いた。
「いいよ。
 わたしもたくさん倒せて、いい思いしてるんだから」
 トレイを突っ返す。

「…でも…ただ助けられてちゃ…僕も男ですし…」
「いいのいいの。
 同じ冒険者なんだから男女は関係なし!」
 ウインクして、瞬とした彼を元気付ける。
「じゃあいいよ、今度一緒に冒険しよ?
 トレイに書いてあった修練度ならわたしと一緒に組めるしさ」
「ありがとうございます!
 …男なのに力も全然無いし、正直一人で狩り続けるのは気が遠くなりそうで…」
 そう言うと友達長にお互いの名前を刻む。
「ウッディーね。 よろしく」


 それからと言うもの色々な所に行き、どんどんと修練があがった。
 回復剤を少なく積んで、多くの収集品を拾い。
 彼の支援魔法でずいぶん楽に狩れる様になった。

 いつしか、お互い惹かれあい、キスをする仲にまで発展した。
「ん…」
 いつもは強がってるわたしが、ただの女に戻る瞬間だ。
 弱弱しい彼が、逆に男になる。


 しばらく故郷に帰る事になった彼を見送り、修練に励んだ。

 前のように黙々と狩り、代理で商人系の職に売ってもらい。
 倒れるように寝て。
 起きると支度を整えて、狩る。

 子供じゃないんだからこの程度の寂しさで泣かない。
 親しい友人と恋の話をすると、同じような悩みを抱えている子がいた(もちろん二人のことは誰にも言わない)。
「新しい人見つけたほうが早いんだけど、…そうも行かないね、好きになっちゃったんだもん」
 寂しげに微笑む彼女。

 そっか、わたしウッディーの事好きなんだ。
 今気づいても遅い。
 故郷に居る間は、念話も通じない。


[ただいま、アリサ]
 借り物の水パイクで天下大将軍を狩っていたら、突然念話が飛んできた。
[おかえり、ウッディー]
 嬉しくて笑みがこぼれる…こんな顔、見せられない。
 つくづく念話で良かったと思う。
[会いたいんだけどいい?]
[いいよ?どこにいる?]
[フェイヨン]
 ここから徒歩でも間に合う距離。
 でも、一秒でも早く会いたいわたしは、蝶の羽根で帰った。

「改めて。 おかえり、ウッディー」
「ただいま」
 そう言うと宿に行き、ベッドに腰をかける。
 最初は軽いキス。 徐々に激しくなる。
「ん…」
 体の芯が熱くなる。

「ね…おねがい、キスよりもぎゅっと抱きしめて…」
「ううん…いいよ?」
 ウッディーの体温が服越しに伝わる。 …早い鼓動も。
「お願い、今はこうしてて。 …いきなりやめないで」
 寂しかったとか、泣き言は言わない。
 ただ、彼と少しでも長くこうして居たかった。

<END>

42 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2008/04/28(月) 23:27:07 ID:gK4eRcE6
二つの話。
かゆいとこに手が届きそうで届かない…かゆい…かゆいー!orz
もの凄く続きが読みたいです。

43 名前:Wikiの中の人 投稿日:2009/12/08(火) 23:10:07 ID:6CHTUPL6
長期に渡りROにも触れておらず、スレからも離れて幾星霜。
保管庫トップの放置ぶりに我ながら涙が出ました。保管庫管理人です。
パソ子のの整理をしていて、色々見つけて懐かしくなり、拙作の後日談などを書いてしまいました。
さすがに、今からROに復帰とかは無いと思います‥‥。が、保管庫は閉じずに置いておきますね。
これからの皆様のますますのご発展を祈念しておりますです。

44 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/09/30(木) 17:55:56 ID:vyLAT6SU
Q.ロージーについてどう思っていますか?
A.もう長いつきあいだよ。と言っても、俺が騎士になってからだけどな。
 こうやってまだ五体満足に生きているのは、一重にあいつがいるお陰かな。
 信頼できる相棒さ。
 (回答者:騎士(男))
Q.エグバートとのことどう思ってます?
A.ハンターになってからはずっと一緒にいるわね。そりゃあ、トイレとかお風呂とか
厳密に言ったら違けど。
 これからもつかずはなれず一緒にいると思うわ。わたしが冒険者をやめたときもね。
(回答者:ハンター(女))


「こいつが俺の愛鳥、名前はロージーだ」
 そう言って騎士はつながれたペコペコの首を優しく撫でた。
 飼い主の行動にペコペコは目を細めて嬉しそうに鳴く。
 騎士の傍らに立つハンターがペコペコの嘴にそっと触れる。
「よろしく、ロージー」

「どうして、ロージーって名前にしたの?」
 なんでもこのペコペコは雌なんだという。ハンターから見ては、ペコペコの性別な
どわかりはしないが。
「もしかして、初恋の人とか」
「……」
 図星、らしい。
 莫迦みたい、と相手に聞こえないように、ハンターは口の中で呟いた。なんでこう、
男はロマンチストなのだろう。
「そういうお前のファルコンの名前の由来はなんなんだ?」
「ん、私? 私は……」
 ハンターはわざとそこで言葉を止める。騎士がこちらに注目しているのを確認して、
彼女は言葉を続けた。
「死んだ弟の名前。
 私がどこに行っても私の後をちょこちょこついてくるような子だったわ。そんなと
ころが、似てるかなって思って」
 弟は五年前に流行病で死んだわ、と淡々とつけたした。
 騎士が動揺しているのがわかる。本当に見てくれ通りの、よく言えば素直な悪く言
えば単純な男だと心の底で思う。
 にっこりとハンターは笑う。
「なんてね♪」
 くるりとハンターは騎士に背を向ける。
「えへへ。本当のところはヒ・ミ・ツ」
 騎士がため息をついたのが聞こえた。
「お前、人をさんざん……」
「そのうち教えてあげるわよ。まだまだ会ったばかりのパートナーに教えられないぐ
らい深ーい意味があるんだからっ」
 ね、とハンターは肩越しにウィンクを一つ、騎士に送る。
 あぁ、この騎士ならいつか話せるかもしれない。そんな風に思った。




45 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/09/30(木) 23:17:27 ID:KAiYqykY

メンチって名前つけると非常食っぽいよね

46 名前:アルティ・エストランス 投稿日:2010/12/15(水) 21:49:47 ID:dijy0B96
   | \
   |Д`) ダレモイナイ・・トウカスルナラ イマノウチ
   |⊂
   |

といわけで、五年以上昔に書いた短編をこっそり投下してみます。タイトルは『RO迷作劇場:逆毛のアン』です。

47 名前:RO迷作劇場:逆毛のアン 投稿日:2010/12/15(水) 21:51:53 ID:dijy0B96
 昔々、あるところに逆毛の女の子がいました。女の子の名前はアンといいました。
 アンはいつもその髪型が原因で、村の子供たちに虐められていました。
「私だって……好きで逆毛に生まれたわけじゃないのに……」
 アンはいつも人知れず嘆いていました。
 ある日のことです。いつものようにアンが虐められていたとき、そこに一人の旅人がやってきました。
「うわっ、女の逆毛だ! キモッ!!」
 旅人の言葉にアンはぶちギレました。近くに落ちていた手ごろな棒を拾い上げて振りかぶり――
「逆毛って……逆毛って言うな――ッ!!」
 叫ぶと同時にボウリングバッシュを放ち、周りにいた子供たちごと旅人を弾き飛ばしました。旅人たちは青い空に吸い込まれるように飛んでいき、そのままお星様になってしまいました。
 アンは驚いていました。まさか、自分にこんな力があるとは思っていなかったのです。
「わ、私にこんな力があったなんて……そうだ! 冒険者になってこの力をみんなのために使えば……」
 今までのように疎外されることもなくなる。そう考えたアンは家に帰って荷物をまとめ、初心者修練場に行ってその日のうちに冒険者になりました。
「ええっと、まずはJOBを10まで上げて一次職に転職すればいいのか……何に転職しようかな……」
 修練場で貰った本を読みながらバッシュを放ち、近くにいたモンスターを粉々に粉砕するアン。そんな彼女を見ていた冒険者の一人が『お前転職する必要ないんじゃ……』と洩らしましたが、幸運なことにアンの耳には届かなかったようです。
 やがて、日が暮れるころには彼女のJOBレベルも10になりました。
「う〜ん……どの職も魅力的だけど……やっぱりここは剣士よね!」
 アンはイズルードの剣士ギルドへと向かいました。受付を済ませ、試験を待っていた彼女。そこへ通りがかった一人のギルド員が彼女を見て言いました。
「ん? お前女か? 女の逆毛なんて珍しいな……」
 逆毛。その言葉はもはや、彼女にとっては禁句でした。
「その言葉を……私の前で言うな――ッ!!」
 アンは壁に掛かっていたポールアクスを手にとり、ギルド員目掛けてスパイラルピアーズを放ちました。哀れな男は瞬時に肉隗に変わってしまいました。
 周りから悲鳴が上がり、騒ぎに気付いたほかのギルド員たちが彼女を取り囲みました。
「そこの逆毛女! 動くな!」
「……そう、あなたたちも死にたいのね……」
 あたかも幽鬼のごとくゆらりとポールアクスを構えるアン。
「……だったら、みんなまとめて消し飛べ――ッ!!」
 そして、彼女の全力を込めたブランディッシュスピアが放たれ――剣士ギルドの建物は完全に崩壊してしまいました。

48 名前:RO迷作劇場:逆毛のアン 投稿日:2010/12/15(水) 21:52:44 ID:dijy0B96
「……やっぱり、私には剣士は向いてなかったかも……」
 一筋の汗を垂らし、自らが成した結果を見つめるアン。その視線の先には崩壊した剣士ギルドの建物がありました。
「……まっ、いいか。次はシーフギルドに行こう!」
 すぐに気を取り直し、彼女は剣士ギルドを後にしました。
 それから彼女はいくつものギルドを回りました。シーフギルドではメテオアサルトで建物を破壊し、魔術師ギルドではメテオストームで建物を粉砕し、大聖堂では阿修羅覇王拳で建物を崩壊させ……まあ、そんな感じです。
「やっぱり、私には無理なのかな……」
 マリンスフィアーを呼び出して吹き飛ばした商人ギルドを後にしたアン。もう全ての一次職ギルドを回ったにもかかわらず、彼女は未だに転職できずにいました。
 しばらく鬱になりながら日々を過ごしていたアンでしたが、スーパーノービスという職業の存在を耳にします。
「ええっと……Baseが45以上か……私LV99だからこれは大丈夫よね……必要アイテムは……これなら全部倉庫にあるわ!」
 さらっとすごいことを口にしながらガッツポーズを取るアン。さっそく倉庫に向かい、必要なアイテムを取り出しました。しかし、ここで根本的な問題に気付きます。
「これで失敗したらもう後がないんだ……何て言われても大丈夫なようにしないと……」
 やがて、彼女は対策として耳当てを購入しました。
「これで大丈夫ね!」
 そう言うと、アンは自信満々にアルデバランにあるという転職場所に向かいました。
 アンの作戦が功を奏したのか、彼女は無事スーパーノービスになることが出来ました。
「やっと転職できた……今夜はお祝いね!」
 嬉しそうにはしゃぐアン。
と、そこにアンが今まで見たことのない白い服を着た男が現れました。男はアンに向かって何か話し始めましたが、彼女にはその内容がよく聞こえませんでした。
(何て言ってるんだろう……そうだ、耳当てを取らないと!)
 聞こえない原因が耳当てにあるとわかり、アンは耳当てを外しました。
「……聞いているのか、この逆毛女! 各ギルドの建物を破壊した罪でお前を逮捕すると言ってるんだ!」
 耳当てを外して男の声がはっきりと聞こえた瞬間、彼女の中で何かが音を立てて切れました。
「……みんなみんな……そんなに私のことが嫌いなのね……」
 瞬間、彼女の体が凄まじい光に包まれ、轟音と共にグランドクロスが発動しました。しかし男は咄嗟にバックステップし、破滅の光からかろうじて逃れました。そして、光が収まったときに男が見たものは……
「……っ!?」
 男に向けてルドラの弓を構えるアンの姿でした。
「そんなに私のことが嫌いなら……死んじゃいなさいよ!」
 血走った目で叫び、アローシャワーを放つアン。男に向けていくつもの矢が飛来します。男は咄嗟にニューマを唱えて風の結界を生み出し、どうにか矢の嵐をそらすことに成功しました。
「貴様っ! ゲームマスターであるこの私に逆らうつもりか!」
 ゲームマスターとはこの世界における支配者のようなもので、その強さはほとんどの者が知っています。ですがその姿を直接見たことのあるものは意外と少ないのです。男の言葉は自分がゲームマスターであることを知ってなお逆らうつもりかという意味でした。
「だから何? ゲームマスターだろうがなんだろうが……逆毛と言った者は消すだけよ」
 しかしアンはそれを聞いても態度を変えませんでした。説得は不可能と見た男は腰の剣――バルムンと呼ばれる、この世界最強の剣――を引き抜いて構えました。
「仕方あるまい! 今ここでお前を処刑す……」
「ストリップウェポン! スティール!」
 男が口上を言い終わる前にアンは男の剣を一瞬にして奪い取りました。
「私をどうするって? ふざけんじゃないわよ!」
「まっ、まて! 話し合おうじゃないか!」
 奪った剣を構えるアンを前に、男は後ずさりながら説得を試みようとしました。
 だが当然アンがそんな話に耳を傾けるはずがありません。アンはバックパックの中から小瓶――バーサークポーションと呼ばれるアイテムを取り出し、中身を一気に飲み干しました。
「ツーハンドクイッケン! コンセントレーション! オーラブレード! バーサーク!」
「ちょっ、ちょっと待て! お前本当にスパノビ……」
「問答無用! 喰らいなさーいッ!!」
 神速で放たれる連撃でずたずたに切り刻まれる男。
 ――男の仲間が到着したときには、既にアンの姿はありませんでした。

49 名前:RO迷作劇場:逆毛のアン 投稿日:2010/12/15(水) 21:53:25 ID:dijy0B96
 ゲームマスターを殺害した彼女は懸賞金1億ゼニーをかけられたにも関わらず、未だに捕まっていません。だからもしあなたがどこかで逆毛の女スーパーノービスを見かけたとしても、決して手を出さず、我々に連絡を……
「今、逆毛と言ったのはお前かぁぁぁぁ!!」
「えっ!?ちょっと待っ……ぎゃああああ!」

 …………合掌。  (終)

50 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2010/12/15(水) 22:15:58 ID:LGWoOww6
アンには悪いが爆笑したw

51 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/12/17(土) 14:56:00 ID:n7ydq/8Y
1年保守

52 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/12/25(日) 09:56:26 ID:cI/joxlM
保管庫のあったaaa cafeが消滅したんだけど、ssってもう見れないのかなぁ

53 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/12/25(日) 19:31:37 ID:iUuTbXlk
スレの過去ログ倉庫はあるから、
そこから過去スレ眺めればうpろだ使ってないのは全部読めるんでない?

54 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/12/26(月) 09:48:22 ID:M6ZiYw.Y
Wikiに直接UPしてた人もいるんよ・・・・。
upロダの投稿もあっただろうし。
なんかもったないというかね。
自分用に保存してなかったのが悪いんだけどさ。・゚・(ノД`)・゚・。

55 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/12/27(火) 10:35:53 ID:XuJ.9mcU
ども、他スレ用の保管庫の避難所を作って居た者です
実はここの保管庫の避難所も作る予定で居たのですが、
仕事が忙しくて手が回らず、結局aaacafe閉鎖までに間に合わなかったとです
本当に申し訳ない

今更ですが新規に保管庫的な物を設置出来ますが、どうしましょう?
希望があれば設置しますが

56 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2011/12/29(木) 22:49:24 ID:0oDKiIZM
出来るなら欲しいところ

57 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2012/01/08(日) 22:21:42 ID:j6CAsNYQ
板自体が停滞してるのが残念だけど、保管庫が新しくできることで少しでも活気が戻るんじゃないかと期待してます。

58 名前:55 ◆CM2d/No0eM 投稿日:2012/01/09(月) 09:40:23 ID:db1tc4lQ
遅くなって申し訳ない、>>55です

お待たせしました、設置が終わったので報告します

FrontPage - みんなで作るRagnarok燃え小説の保管庫 の避難所
ttp://mmo2ji.2kki.com/ro/pukiwiki/index.php

見て頂くと解る通りFrontPage以外はからっぽです
使い方は住人の皆様にお任せします

また、FrontPageは改変防止の為凍結処置をしております
何か要望等がありましたら、スレはチェックしていますので取り敢えずスレに
書き込んで下さい
後日各板避難所共通の掲示板を作ろうと思っています

59 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2012/01/09(月) 22:48:02 ID:a9AG1lUA

あとは作品が投下されるといいんだが

60 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2013/02/16(土) 22:48:09 ID:Jf9yR65s
旧燃えWikiにあったSIDE:A、SIDE:Bシリーズはもう見れなくなったのか。(´;ω;`)
あれ好きだったんだけどなぁ。

61 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2013/02/17(日) 11:58:48 ID:JIWSV/XE
あれ確かWIKIに直接投下されてたんだっけか
もったいない

62 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2013/05/03(金) 18:32:12 ID:TPbLCVjE
駄目…今は亡き御主人様の太い肉棒の味と逞しさが…忘れられないの…
駄目…もう我慢出来ない…ねぇ、あなた…貴方の逞しい肉棒…
私のここにご馳走…して…(クパァ)

んっ…つっ!…あぁ…いぃ、凄い…逞…しいわ…!
今は亡き御主人様までとは行かないけど…
良いわ…すごぃっ!…あぁん!おいっしぃ…
あ!も…もぅ駄目…貴方の逞しい肉棒からほとばしる白ポ…
こ、このまま…直に…注ぎ込んでぇぇぇ〜!!

私は、死に別れた御主人様のキューペットアリス…
今日も又、流れ込んで来る白ポの味が忘れられず、
疼いた体で、又、人を連れ込む
いけないキューペットアリス…

63 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2013/05/04(土) 13:10:57 ID:ElMnhHhw
こっちは全年齢向けスレなのでエロは18禁小説スレの方で書こう

【18歳未満進入禁止】みんなで作るRagnarok萌えるエロ小説スレ 十七冊目
ttp://www.ragnarokonlinejpportal.net/bbs2/test/read.cgi/ROMoe/1195568559/

64 名前:名無しさん(*´Д`)ハァハァ 投稿日:2015/02/17(火) 12:14:14 ID:1eU6HCw.
書き溜めてるぜー
形になったら投下するでー

と、意識表明を出さないと書かないままアイディアが消えそうだから
書くぜ書くぜー

65 名前:白きいちご<A面> 投稿日:2015/03/10(火) 22:04:33 ID:BKGOqiO6
SIDE話、おもしろそうだなー、と思ってたら手持ちの小説にそういうのがあった。
短編集でA面B面とあって、1編ごとに作家が違うやつ。
総勢12名で24話分。それぞれ特色あっておもしろかった。
というわけで、それ目指して私も書いてみたぜ。
B面は後日!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

役に立たないネタ職、と散々言われたし、自分でもわかってて選んだ。
ウィザードになれば大魔法でバンバン敵をやっつけられて気分爽快、経験値もおいしい。公平PT組んだらみんなハッピー。
それに付随する悩みやドロドロした人間関係を考えると、どうしても魅力的にみえなくて。
憧れてたのに、嫌気が優った。

いいじゃない、セージ。
わっか、ぴょこぴょこしてて楽しいもの。

大自然を満喫しながら芋虫を焼いたり、時計の針の音を一人で聞きながら時計を焼いたり。
炎は人類が最初に発明したうんぬんかんぬん省略。ファイヤー、さいこー。
うっかり死に戻ったりしても、同行者がいないのだから迷惑かからない。

それでも、一人が寂しくもなるのも、事実。

すれ違う人がパーティーを組んでたときなんて、自分が場違いな存在のように思える。
視界に入ってごめんなさい、といたたまれなくなる。
逃げ出したいけれど他人に迷惑をかけたくなくて、みえない距離まで移動したのに結局は蹂躙されて地面に伏せるのでした。
信念を守った達成感はある。
ただ、惨めなだけ。

街に戻って、ヒールクリップでちまちま回復してると、たまにアコライト系の方に回復と支援魔法をいただくことがある。
うれしいし、ありがたい。
だから感謝の気持ちを口にした。

それがいけなかったらしい。

「シロちゃんシロちゃん」

呼ばれて顔をあげると、同じギルドのプリーストのラズベリー君がいた。
腕を組んで不機嫌そうな顔。
わたしは驚いた。
だってラズ君、頭から流血してらっしゃる。
……ヒールしようよ。だくだくと流れてるよ。

「ラズ君。その傷どうし――」
「なんで俺以外の人にヒールとブレスと速度もらってなんでなんでなんで礼まで言ってアレはシロちゃんの知り合いですらないくせに狡い酷い狡い」

ダメだ、目が据わってる。
周囲の視線がすごく痛いです。
慌てて駆け寄ります。

「ちょっと落ち着い――」
「他のやつの支援なんて汚い汚い汚い信じられないなにあいつ在り得ないシロちゃんに笑顔むけられて支援かけやがったまじ有り得ない汚い汚い汚い」

ヒール、ヒール、速度上昇、ブレッシング、ブレッシング、速度上昇、ブレッシング、さらにブレッシングって、かけすぎ。
手を伸ばして、ラズ君の頬に指先でそっと触れる。
機械のごとく、動きが止まった。

「わたしの声、きこえますか?」
「女神の託宣のごとく、この胸に響き渡っています」

おっけー、いつも通りにバグってるラズ君です。
周囲の視線が犯罪者をみるような鋭いものから、生暖かい視線に変わっていく。
いやそういうのじゃないから……。

「頭から血が流れてますよ」
「ああ、道理で血生臭い」

痛そうなのに、においのほうが気になるのかー。
ラズ君がヒールしてる間に、気になってたことを尋ねます。

「どうしてケガしてたんですか?」
「シロちゃんにギルド会話で振られたショックで倒れたときに負いました」

……振られた?
ギルド会話を思い返してみます。
たしか、数分前――

『シロちゃんシロちゃん、暇してたら狩りいかない?』
『ごめんいま戦闘中』

あ、これですか。
……え、これですか?

「素っ気なくてごめんなさい」
「いえ、だから待ってました」

首をかしげます。
なにが「だから」なんだろう。

「返答の短さから混戦か激戦、おそらく場所は時計塔。
勝ったらその場から返事してくれるけど負けたら街へ死に戻り。
どちらにせよ数分で決着がつく。
万が一のためにプロンテラとアルデバランの帰還ポイントをポタで往復して待ってました」
「……相変わらずのすごい洞察力、いやポタ乱用って」
「それなのに他のやつにシロちゃん支援かけられててなんでなんで俺以外のやつから支援もらって汚された汚された汚された俺しか触っちゃダメなのに俺だけなのに」

うわーい、また壊れたー。
背伸びして、ラズ君の頭をわしわしと撫でながら、

「せっかく会えたのだし、わたしと時計塔デートしてください」
「ぜひお願いします」

よし、正気に戻った。
いや世間一般より狂ってるけど、言葉が通じるし。

「FWの置き方がうまくいかなくて、練習をしたいの」
「わかりました。後姿をじっくり堪能します」
「後半は言わなくていいってば」

PT作成っと。ラズ君に申請する。
『らぶらぶなデート中』
いやここまであれな名前にしておかないと、ダンジョン内ですれ違った人に嫌がらせをするから。
具体的には、ブレス速度キリエをレベル1でかけるという、悪意たっぷりの支援。
なぜわたしが把握してるかというと、主な被害者がギルメンだからです。
ギルド狩り中の出来事だし、まぁ許される範囲です……よね?

「エナジーコートは使わないでください。シロちゃんの姿が霞むから、俺あれ大っ嫌い」
「ラズ君がいるから使わないよ。頼りにしてるよー」
「光栄です。生きててよかった」
「じゃあ、30分くらい狩りして、そのあと、ちゃんとデートもしましょ」
「わかりました。楽しみです」

おそらく。
世間からみたら、わたしもどこかおかしいのだろう。
それでも、この嫉妬深い青年に懐かれてるのがとても心地いい。
彼は、わかりやすく、わたしを必要としてくれるのだから。

「ラズ君、あのね。いつもありがとう」
「いいえ、こちらこそありがとうございます」

きみに会えて、わたしは幸せものだよ。


<了>

66 名前:ミニ文章 投稿日:2015/03/16(月) 20:59:06 ID:XH95/T7A
書くために課金してすっかりプレイ時間で睡眠すら削られます。
だから怖いんだよROはッ!ちくしょう可愛い!
いまのホワイトデー・イベントネタ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『アンナさん、いまどこにいますか?』

『プロンテラの真ん中で露店中。ミルク仕入れてガンガン売ってるわよ』

『ああ、チョコの材料販売ですか』

『そうそう、ホワイトチョコルチの姿で。
正直、変身したからどうだってもんでもないわよね。
視線が低くなったから、まぁ、新鮮といっちゃあ新鮮だけど』

――間。

『いまなら変身とけてないし、見に来る?』

『すぐ向かいます』


【ダークマター販売】

「つかぬ事を伺いますが、この黒い消し炭は手作りですか?」

「私じゃないわよ。お菓子職人のパノって人が失敗したやつよ。」

「僕の見間違いじゃなければ、使用時にステータスがマイナス5〜10ってみえますが」

「奇遇ね。私にもそうみえるわ」

「……それを10kで売るとか」

「だって、売れるんですもの。まさにジョークアイテム、<黒い物体>ね」


<おしまい>

67 名前:66 投稿日:2015/03/18(水) 10:11:22 ID:tnukKNRg
うわパノってお菓子職人じゃなくて、ただの神官だったらしい
ミスってすいません

いやBS娘の勘違いってことでゴリ押し。

68 名前:ミニ文章 投稿日:2015/03/21(土) 21:47:13 ID:0fJtly0s
ガールズトークを書こうとしたくせになぜ男になったのかと。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


借りてた本を返却しにいく途中、ふと話し声を耳にした。
なんとなく、そちらへいってみる。

「もうコレとコレでいいんじゃね?」

珍しく真剣な顔をしたローグと、

「センスで選ぶなら、首輪やなー」

いつも通りの読めない笑顔のアサシン、

「それだと効果がねー。表現はありなんだけどなぁ」

テーブル上のアイテムをがさごそと掻き分けるハンターがいた。
それをみて、プリーストは頷いた。
なんだかとってもしょーもない雰囲気だ、と。
見つかる前に去ろうとしたが、うっかり目が合ってしまった。

「お、いいところに。ちょっと意見を聞かせてくれよー」
「まぁ、手短に頼むよ」

それで何?と促す。
同時に卓上のアイテムをみやる。
グローブ、ブローチ、ベルト、ロザリー、ネックレス、マーターの首輪などなど。
主にアクセサリー扱いの装備品が積まれていた。
にこにことアサシンが説明する。

「女の子でごく自然に二つ装備が許される最強のアクセサリー徹底議論しとるんよー」
「帰っていいかな…」
「やはり俺はマーターの首輪を推すな」
「うわ完全スルーですかー」

ピッと指を立ててローグが力説する。

「首輪といっても別に装備部位が首に限定されるわけじゃねえ。
なんだったら左太腿に2個つけるってのもありだろ」
「異議ありー」

ハンターが挙手した手をひらひらさせ、

「そりゃ騎士やプリーストならまだいいよ?
モンクとガスリンガーだったらみえないだろ」
「HP半分にすれば服がビリビリ、チラリズムのワンチャンあるでー」
「そんな現象ねーだろ。
じゃあ片腕ならどうだ? 衣装の上から絞め付けるようにキツめで」

マーターの首輪ねぇ、とプリーストは息をついた。

「そこはやはり胸の下が一番でしょう。
二つの首輪をほどいて、一つの大きな輪にして、胸の下で強引に止めれば、胸も強調されて一石二鳥です」
「……この『試したことありますけどなにか?』な口調、悔しいっ!」
「おお、経験談は貴重やなー」
「まじリア充爆発しろ」
「ちゃんと答えたのに罵倒される不条理に心が折れそうです。
逆の発想で、ありえないアクセサリーはどれですか?」
「グローブだな」
「グローブやなー」
「右手用だもんなぁ、2枚はちょっと難易度高い、という結論がさっきでたとこ」

そーでしたか、と時計をみると5分経過していた。
……時間を無駄にしてる気分がひしひしとする。

「ブローチやクリップは、二つ付けても微妙だし」
「乳首の位置につけるくらいしか活用方法が思いつかねー」
「ネックレスやロザリーは鎖部分が無限の可能性を秘めてるやんなー」
「ロザリーだけなら大聖堂でうっかり2個買ってしまった初々しいアコライトというシチュエーション萌えくらいでしょうか。
っていうか帰っていいですか?」
「じゃあオススメのアクセサリーと付け方いってみてやー」

アサシンからの無茶振りに、すみやかに離脱できる答えを選んだ。

「銀の指輪ですね。
付け方は両手の薬指。
告白したときに、右手の指輪をいただきますか」

ゆっくりと。
ハンターとローグが床に倒れた。
『恋人募集中』と『片思い中』の彼らには少々酷だっただろうか。
アサシンは「おー、逆プロポーズかー。それもありやなー」としきりに納得している。

「では僕はこれで!」

2名が復活する前に、プリーストは逃げ出した。


<おしまい>

69 名前:ミニ文章 投稿日:2015/03/23(月) 21:58:00 ID:MWvUK/bE
同じネタでガールズトークすりゃええんじゃい!と気づいた。
今度こそ男キャラは出さねーぜ!とノリノリだったのに気を抜くと登場する出たがりが多い。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


借りてきた本を返しにいく途中、楽しげな声にちょっと寄り道。
同じギルドのセージとダンサーとウィザード、それにサブマスのブラックスミスがいらっしゃいました。
こちらに気づいたサブマスが「おいでおいで」と手招きしています。

「なにしてるんですか?」

近づいてみれば、テーブルの上にどっさりとアイテムが置いてあります。
ハイヒールや荒れ狂う波の書、天使の守護など、ちょっと珍しい品が多いような。
ブラックスミスがテーブルに並べながら、説明してくださいました。

「紫箱が安売りされてたから、大量購入してあけてるとこなのよ」
「え、これ全部、紫箱から出たものですかっ?」
「すごいよね〜」
「開けちゃうとこみせてってお願いしちゃった」
「間近で見る機会なんて滅多にないから、ウフフフ、レアな経験よ」

なるほど、と種類のバラバラな矢を摘み上げます。

「一攫千金とはいかないわよね、そろそろ破魔矢も出るかしら」
「起こらないから奇跡っていうバニラアイスジャンキーの名言もありますから。
そういえば男性陣は呼ばないのですか? ギャンブルみたいなノリ、好きそうな方ばかりですのに」
「さっきまでいたけど、2名は自室で死んでるわ。一撃死だったそうよ」

よくわからないので「そうですか」と答えておきます。2名って誰でしょう?
あ、尖っているいばらのカタールがあります。
手にとって装着。

「……なんでしょう、この微妙な付け心地は」
「私もさっき荒れ狂う波の書を構えて、似たことを思っちゃった。属性付与にはない違和感がでちゃうの」
「慣れれば馴染むのかしら? 私は本より杖だけど」
「属性矢でも、やっぱわかんないよね〜」

カタールを外してテーブルに戻すと、ブラックスミスが首を傾げて、

「気になるなら、あげるわよ?」
「えっ、いや、気にならない――わけでもないですが、うーん」
「じゃあ、プレゼントってことで」

もしも「気に入ったなら」だったら、断ってお金を受け取ってもらおうとしましたよ、ええ。
だけど「気になるなら」だと難しい。だって興味はありますし。
お世話になってるのにプレゼントまでいただくには、と断っても押し切られる未来がみえました。
ならば、取り置きをしていただいて、お金が揃ってから購入・受取がよろしいかと。
それに、

「プレゼントだったら意中の殿方からいただきたいですからね、やはり購入させてください」

不意に静寂が訪れました。
サブマスは呆れ顔で。
ダンサーとセージは互いの手を合わせて。
ウィザードはからかうような笑みを浮かべて。
それぞれ、こちらを注視しています。
………はっ。

「いまのなしですッ! 口が滑りましたッ!
そこの御三方、ニヤニヤしないでくださいッ!」
「ほ〜ぉ、ほほ〜ぉ、案の定、好きな人いるのね〜。誰かな〜? 誰なのかな〜?」
「盛大に自爆しちゃったね。やっぱりギルメンの誰かでしょ」

なぜバレてるんですかっ!?という叫びを慌てて飲み込んだ。
せ、セーフです、まだセーフです!
セージに向かって「なんのことですか」と笑いかけようとして、

「ほら、赤くなっちゃったし正解でしょ。証明終了ーっと」
「〜〜〜〜〜ッ!?」

なんですぐ顔に出ますかねぇ!?
両手で頬を押さえ、ってめちゃくちゃ熱いしッ!

「フフフ、純情アピールね! 一人ずつ名前をあげていったらすぐわかりそう。
本人がいる前でやったら、即バレ告白コースよ。まさにヘル・オア・ヘブン!」
「そんな怖いこと言う人キライですっ!!」

ご本人に知られるのだけは回避しなくてはなりませんッ!
……実らない恋ですし、ちょっと夢みただけなんです。
OK、かなりへこんだので少し落ち着きました。

「そ・れ・よ・り・もっ!
みなさんは殿方から贈られるなら、どんなプレゼントがいいですか!?」

強引な話題そらし、けどこれが精いっぱいなんです。へるぷみー。
苦笑しながら、そうねぇ、とブラックスミスが乗っかってくれました。まじサブマス女神さま。

「しおれないバラなんて、ロマンチックでいいわね」

ふむふむ、とダンサーが大げさに頷き、

「その口ぶり、さては貰ったことがあるのかな〜?」
「そうよ。ほら、常に持ち歩くくらい、うれしかったの」
「惚気か〜。しかも即答だよ〜」

羨ましいな〜、と言いながらソファーに沈むダンサー。
その隣でセージが「んー」と宙を見上げ、

「私は偽天使の羽かな。
『偽物』って天使の存在を否定しちゃってるとこが好感高め。
ドロップ元の偽天使の存在はガン無視しちゃうけど」
「フフフ、このロマンチストの振りしたリアリストめ。
装備の『天使の守護』シリーズを貰って悶えるといいわ」
「それってスパノビ専用装備だし。まぁ、そういう微妙なチョイスは確かに悶えちゃうね」

よし、話題すり替え成功。
後日にまた詰め寄られたら、そのときはそのときです。全力バックステップで逃げます。

「では誰もがタブー化してる願望をオープン!
ホワイトリリーなんてどう? ゾクゾクするわね!」

自身の体を抱きしめて悶えるウィザードに、

「相場がギガ単位だね〜……、ゼロの数が多いな〜」
「もはや贈り物じゃなくて、貢物の域に達しちゃう」

ブラックスミスがスモーキー人形をぽーんと放り投げました。
宙を舞うスモーキーは、ウィザードの手の中にぽふっと着地。

「ホワイトリリーよりぬいぐるみのほうが喜ぶでしょ、あなた」
「まあね。『毎晩添い寝してます』と言うシチュ萌え付きもいいでしょ。
フフフ、全裸のぬいぐるみと添い寝なんて、まさに淫乱っ!」
「オシリス人形は包帯ぐるぐるですけど、あれも剥いたんですか?」
「残念ながら包帯ごと縫い付けてあるから剥けないわよ。ムナック人形も同じ。
フフフ、『解いた』じゃなくて『剥いた』という表現のチョイスに戦慄したわ」

スモーキー人形を膝の上にのせて、もふもふと撫でまわすウィザード。
こうしてみると常識人っぽくみえますのに。

「このコ、もらっていいかしら?」
「そのつもりで渡したのよ」
「ありがと。フフフ、触り心地がサイコーよ!」

それはよかった、とブラックスミスは紫箱から青箱を取り出しました。マトリョーシカですか。

「で、あなたは何を贈られたいの? 動くスポア人形かしら? その巨乳に挟んで男に迫ればいいわっ!」
「意味はわかりませんが、えっちぃ意味ですね!? まだ怒ってませんけど怒りますよ!?」

テーブルに埋もれてたポリン人形をばしっとウィザードに投げつけましたが、素早くキャッチ。おのれ高DEXめ。
「ポリン人形もありね。2個あればエセ巨乳も可能よー!」とか言ってますが幻聴だから聞こえません。

「御本人の銘入りアイテムなんていいですね。イベントでよくやってるサービスの。
難点は、イベントアイテムって食料品が多いところでしょうか。もったいなくて食べられなさそうです」
「逆の発想で、ランカーのスリムポーションいっぱいなんてどうかな〜?
すっごい特濃だよ〜」
「ええ、ええ、回復量が多いから特濃ですよね、他意はないって信じてますからねッ!?」
「草の葉や花びらみたいな、プラス効果のついたかわいい装備もいいよね。もちろん一度は使用しちゃったやつ」
「遠回しに間接キス要求してるじゃないですか、あと強引にこじつけないでくださいッ!」

やいのやいの騒いでる間にも、アイテムが増えていきました。
神官の手袋、プレゼントボックス、未熟リンゴ、プラコンなどなど。

「見事に微妙なラインナップで笑えるわね。ほとんどが売却処分かしら」
「矢全部もらうよ〜。計算めんどいし、まとめて千ゼニーでいい〜?」
「その半額でいいわよ。それでも貰いすぎてるくらい」
「うーむ、属性本、ちょっと欲しくなっちゃったから、売ってほしい」
「いいわよ。はい、どうぞ」
「私はプレゼントボックスを全部いただくわ。カモン、ぬいぐるみっ!」
「出るといいわね、3コだったけど」

外はすっかり暗くなってしまいました。
……そう、図書館は閉館してる時間です。
返しそびれましたね、本。
おもしろかったし楽しかったので、まぁ、いいかな、と。


<オチなしでおしまい>

70 名前:ミニ文章 投稿日:2015/03/27(金) 23:06:38 ID:Bvn2WRbM
前後でどうしようもない矛盾に悶えまくり。
聞かれてすらいないのに勝手に補足。

また詰まったんですよ、こんちくしょーめ。


Q,>68でBS娘はどこいってたよ?
A,拡大鏡を買いにいきました。
アクセサリーだけ鑑定して、暇そうにしてたハンターに、
「ちょっとみといて」
とお願いした結果、3馬鹿がそろってY談スタート的な感じ。

Q,矢の値段、高すぎね?
A,ハンターにプレゼントするために集めてらっしゃるので、むしろおっけー。
微妙な矢を微妙な本数、雑多な種類という、努力の割りにはすっごく微妙。
渡した順と本数で矢の名前を組み替えるとメッセージになる、という、わかりにくい暗号も考えたけど文字が足りなくて放り投げた。

Q,借りてた本の内容。
A,プリ男は「薬物辞典」、とある薬物からの回復手段を探してる。「時間経過しかないかなぁ」
アサ子は「人体模型図」、しょーもない理由から、しょーもない確認のため。
結局はよくわからず、他人で確認する手筈。

Q,バニラアイスジャンキーの名言?
某エロゲキャラの口癖。
つまり、純情あっぴーるしてるけど、一番えろいのはアサk(鯖缶

71 名前:ミニ文章 投稿日:2015/04/01(水) 00:58:17 ID:uT6N/K4o
18禁のほうが進まないから気晴らしに書いた
パロディ入ってます
主観の主は男ローグです。てか見事にシーフ系しか出てないわコレ。
>68-69とリンクしてます

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

楽しそうだな、と思って眺めてた。
同じギルドのアサシン2人が切り結んでいるのだが、鍛錬どころか試合にすらみえない。
男のほうが顔をマスクで半分以上隠しているが、口元や雰囲気から楽しんでるとわかるし、女のほうはわかりやすく笑顔だし、目が輝いている。
宙返りから着地した女アサシンが勢いを殺さず、低い姿勢で疾走する。手にはカタール。
対して、男アサシンは剣を鞘ごと後ろに構える。
居合切りの構えだ、………っておい。

(いや剣で居合切りするなよ。刀じゃねーだろ)

その間合いへ女アサシンが大きく飛び込む。
剣が真横に、胴を凪ぐように振られる。
が、女アサシンの体が宙で回る。
その脇腹を剣が撫でる直前、姿が消える。

「…くだらないっ」

バックステップで大きく後ろへ跳躍。
だが彼女の回転は止まらない。
さらにバックステップ。

「なんて、くだらない」

男アサシンの背後へ着地。
居合切りの勢いを殺さぬまま、男アサシンも身体ごと剣を回転させている。

「口伝なんて、こんなものかっ!」

笑いながらソニックブロウを叩き込み、なにかを叫ぼうと口が開く。
同時に、こちらと目があった。

「うっわあああああ!?」
「あ、こら止まったらあかんて!」

ごすっ

驚いてる女アサシンの顔に、男アサシンの鞘がぶち当たった。
うわ痛そう。
へなへなへな、と額を抑えて地面につっぷす女アサシン。

「おー、珍しいお客さんやなー」

剣をぷらぷらさせ、男アサシンがマスクを外した。
よう、と片手で挨拶しながら、

「お前ら、なにやってたんだ?」
「んー、イメージトレースっちゅーか、再現っちゅーか、まぁ、お遊び?」

ダメだ、この飄々とした友人に聞いても無駄だった。
もっとわかりやすい反応をする女アサシンを懐柔しよう。
彼女は地面に座ったまま涙目でこちらを見上げている。

「どこからみてました…?」
「居合切りのとこかな」

う〜〜、とそのまま目を反らす彼女を逃がさぬよう、しゃがんで視線を合わせる。

「二人でなにやってたんだ?」
「ひ、ひみつの特訓、です」
「うん、ウソだな」

目が泳いでる。
ついでに気になってた点をきいてみる。

「いつもの武器じゃないのか」
「だって、カタールじゃないとアサ………ソニックブロウできないから」
「意味がわからん」

よし、奥の手だ。
露骨にがっくりと肩を落とし、

「なんだよ、俺には言いたくないのかよ……」
「ち、ちがいます! これは、その、ええと」

どうみても寸劇だが、慌て出す女アサシン。ちょろい。
よーし、あと一押し。

「じゃあ、教えてくれよ。二人でなにしてたんだ?」
「………い、」
「ん?」

優しく促すと、顔を真っ赤にしてこちらを見上げる。

「言えません、ごめんなさいぃぃぃッ!」

パッと彼女の姿が消え、走り去る音が聞こえた。
クローキングで逃げられたか。チッ。

「振られてんなぁ、強引に攻めるからやでー」
「ほっとけ。あとで謝りにいくし。
で、お前らはなにしてたんだよ。ちょっと教えろよ」

剣を鞘に収めながら、男アサシンは苦笑まじりにこういった。

「ある小説の真似っこしてたんよ」
「はぁ?」

ならば、さっきのは試合じゃなくて演武だったのか。
いやそれにしちゃ実戦の動きだった。
手をぱたぱたさせて男アサシンが笑う。

「俺とあの子の知ってる小説にな、アサシンキャラがおんねん。
んでな、『あの戦い、再現できないですかねー』って目をキラキラさせていうから、やってみとったとこなんよ」
「演武どころか、まじでお遊びだったのかよ、おい」
「さっきの『くだらない』ってセリフも、作中にあったやつや。
スキルの名前を叫ぶ直前にお前さんに気づいたから急停止したんやろ」

それになぁ、と意味ありげにニヤリと笑う男アサシン。

「なんだよ、気味悪いな」
「いやー、そのアサシンキャラが惚れとるキャラもおってな?
健気に『主君はかっこいいぞ』とか袖引っ張ったりしてアプローチしてんねん」
「なに!? ……が言いたいんだ」
「適役がいればもっと楽しめるんやけどなー、っていう独り言や」

憮然とした表情をつくる。
興味ねぇよ、と踵を返して立ち去る。

「ま、気が変わったらよろしゅーなー」

うるせーとっとと寝ろ、とニヤニヤする友の顔面に石を投げつける。
そういや彼女は明日図書館に返却にいくといっていた。
どうせ暇だし、誘ってみるか。
なにかオススメの本があれば、ぜひ聞いてみたい。

<おしまい>

72 名前:ミニ文章 投稿日:2015/04/03(金) 21:24:05 ID:lDc3ft2c
>71の男アサ視点
18禁のほうが進まないorz

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「小太刀が用意できればよかったのですけど……」
「あるもので代用すればええて。全部揃えたくなったらキリがないでー」

それもそうですね、と女アサシンがくすくす笑う。
ふと見上げると、夜空に星が輝いていた。
ここはギルドハウスの中庭。
主な用途は、憩いの場としてではなく、自分たちのように野外での戦闘訓練が多いようだが。
四方がうちのギルドの建物に囲まれているから、やりすぎなければ近所に迷惑もかからない。
まー、人目はどうしようもないが、さしたる問題ではないだろう。たぶん。

「念入りな打ち合わせは流れが止まりそうですから、ある程度はアドリブでいきましょう」
「せやな。致命傷にならなきゃなんでもええし」
「……すごく不穏な単語が聞こえましたが、ええ、軽傷なら問題なしです」

鞘ごと剣を腰にさす。
すべての武器を使いこなせてこそアサシン、といいたいが重心が偏る違和感が拭えない。
やっぱ短剣のほうがええなぁ、とぼやきながら、マスクで顔を隠す。

「カタールだと刺しやすい作りですね、私も短剣のほうが慣れてますから、」

うん、と力強く頷く女アサシン。

「これでお互い、条件は五分五分ですね」
「いや俺のほうが悪条件やて」

そうでしょうか、と屈託なく笑う彼女に肩を竦めてみせた。
スタート地点へ向かいながら、流れとゴールの最終確認をしあう。
といっても中庭を駆けて2往復するだけ。
その間にどれだけ詰め込めるか。

「準備はええか、『冒険者』?」

剣を抜き、芝居のかかった言い方をすると、彼女は無邪気に笑って頷いた。

「もちろんです。いえ、これじゃダメですね。
――無論だ、『殺人鬼』。いざ、参る!」

地を蹴り、二陣の風が激突する。


1往復目でうっかりツッコミそうになった。

(遊びというたのに、本気出しとるがな)

カタールは刺す武器だというのに、彼女は小太刀のように振ってくる。
それだけで数瞬の迷いがでる。予測がぶれる。

もっと苦戦させてくださらないと困ります、と遠慮なく刃が身体をひっかいていく。

舐めるなよ、と剣を凪ぐと、女アサシンがそれに合わせる。

しゃんっ、と金属が鳴った。

剣とカタールが滑り、互いを弾き合う。
その音に目を細める女アサシンに、

(寝る前の軽い運動じゃないで、これ)

ノリノリやなぁ、と苦笑を零しながら追っていく。


ゴール前になって、中庭へ入ってきた人物に気づいた。
同じギルドメンバーであり、友人のローグが怪訝な顔をして近づいてくる。
彼女に教えた方がいいかとか、中断して続きは後日とか、いやこれ密会ちゃうでとか、あれこれ考えた結果、

(ま、ええか)

面倒くさいから、放置しとこ。
女アサシンが身体を低くして燕のように飛び込んでくる。
居合で迎撃。
舞うように小柄な身体が2回大きく移動。狙いは背後か。
振り返らず、彼女の姿を追うように旋回する。振りぬいた剣より、補強された鞘が本命。
追いつめてトドメを刺そうとすれば、終劇だ。
なのに、女アサシンがこちらの背後をみて、動きを止めた。

「あ、こら止まったらあかんて!」

勢いついた鞘は、急に止められない。
ごすっといい手応えがあり、

「痛いですぅぅ……」

女アサシンが地面に突っ伏した。
痛がってるだけで怪我はないなら、問題なしやなー、とマスクを外す。
顔を押さえながら、しかしこちらをはっきり睨んで、彼女の唇が声なき言葉を紡ぐ。

――どうして教えてくれなかったんですか
――面倒だったからやでー

わかってたけど性格悪いです、と言いたげに口を歪ませているが、気配に気づかないほうが悪いに決まっとるやないか。

「二人でなにやってたんだ?」
「ひ、ひみつの特訓、です」

友人の詰問に女アサシンがとぼけようとして失敗している。いやほんま顔に出すぎやて。
夜風が吹いて、戦闘であがった熱を冷ましていく。
涼しーなー。
夜空を見上げて、目を細める。

もう一人のギャラリーは、出てこんのかいなー?

途端、屋上からこちらをうかがっていた気配が、ゆっくりと消えていった。
ギルドメンバーの誰か、ではない。
ふーん、うちみたいな弱小ギルドを偵察する暇人なんておるんやなー。
剣を鞘に収めて、彼女に逃げられた友人へ解説という名のからかいを実行する。

「そのアサシンキャラが惚れとるキャラもおってな?
健気に『主君はかっこいいぞ』とか袖引っ張ったりしてアプローチしてんねん」

正直、引用のセリフを『こうすると、気持ちいいぞ』と迷ったが、それ聞いたらこの場で友人に殺されそうやしー。
茶化しすぎて投げられた小石を避けそこなった。


今頃気づいたんやけど、もし終劇までいって、彼女にトドメを刺そうとしてたら、
……俺、ローグに後ろから刺されとったんちゃう?

<またどこかに続くかもー>

73 名前:ミニ文章(1/2) 投稿日:2015/04/07(火) 22:24:10 ID:tnykctHk
桜があまりに綺麗だったから。
といいながら桜が出てこない。

視点は前半は騎士、後半はプリーストです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

まだ眠るには早い時間、だが狩りに行く気も起きない。

「どうしたものかな」

剣を鞘に収め、片づける。
武器や鎧の手入れを終え、本格的にやることがなくなってしまった。
せめて水でも飲むかとキッチンへ向かう途中、押し問答のようなものが聞こえてくる。

「どうしてもダメでしょうか」
「ええ、駄目です。理由はわかってるでしょう?」
「そこをなんとか」
「却下します」
「即答ですかッ」
「当然です。自室へ戻りなさい」

何事だろうか、とそちらへ向かうと、ギルドマスターのプリーストに食い下がってるアサシンがいた。
日和見なギルマスにしては珍しく渋い顔をしており、アサシンのほうもこれまた珍しく断られても諦めない。

「どうしたんだ、二人とも」

そう、珍しい光景だったから声をかけただけだった。
こちらに気づくと、ギルマスは眉をひそめ、アサシンは嬉しそうにこちらへ駆け寄ってきた。

「いいところへ来てくださいました、リチャードさん!」

そういってアサシン――セラフィーナは俺の左腕にしがみつく。

「いったい何事だ」
「リチャードさんが同伴なさってくれるなら、いいですよね、紅男さん」

こちらの問いに答えず、プリーストに勝利宣言のように告げた。
プリースト――紅男は「うーん」と腕を組む。

「条件があります。それをリチャード君が了承するなら許可しましょう」
「……ギルマス、まずは説明してくれ。じゃないと判断もできん」
「ギルマスじゃなくて紅男って呼んでね、リチャード君」

いつもの困ったように笑いながら、紅男が告げる。

「セラフィーナさんがね、夜桜見物に行きたいんだってさ。でも夜に女の子の独り歩きは危ないから、行かせたくないんですよね」
「過保護もいいところだな、ギルマス」
「ギルマスじゃなくて紅男ね、リチャード君」
「リチャードさんがご一緒してくださるなら、夜桜見物にいっていいですよね?」

嬉しそうなセラフィーナへ、「条件があるけどね」と付け足すギルマス。
いや俺はまだ同伴するとも言っていないのだが。
仮に、断ったらどうするんだろう。
おそらく――これはあくまで想像だが。
肩を落として、「仕方ないですよね」といいながら、ぎこちなく笑おうとす……これ以上は駄目だ。罪悪感で苦しくなってきた。
ただの想像だ、俺は断っていない、と己に言い聞かせ、

「条件とは、なんだ?」
「手をつないで、絶対に離さないこと」

思わず呼吸が止まった。
茶化されたかと笑おうとして、ギルマスの真剣な表情に、今度こそ言葉を失った。
過保護どころじゃないだろう。何故だ。

「紅男、そこまでする理由はなんだ」
「なにかあってからじゃ遅いから」

即座の返答は硬い響きをもっていた。
妥協案はありえない、と。

「これは僕ができる最大の譲歩だよ。できないなら、外出の許可は出さない」

暗に「これ以上詳しくは言えない」と釘を刺されたように感じた。
彼女のギルド加入は、訳ありなのか?
重ねて問おうとすると、くいくいっ、と袖を引っ張られる。
思わずそちらをみると、嬉しさを堪え切れないようにセラフィーナが微笑み、

「手をつないで夜桜見物なんて、まるで恋人同士みたいですね」
「〜〜〜ッ! す、清々しいまでにマイペースだな、セラフィーナ。というか君の話なのにその態度はなんだ。この口か? この口が悪いのか?」
「い、いひゃいです〜、にゃ〜っ! い、いきなりほっぺた引っ張らないでくださいっ、横暴ですよ!?」
「はいはい二人ともじゃれ合わない。 で、条件飲むの?」

悩んでるのがバカバカしくなってきた。
わしわし、とアサシンの頭を撫でながら、

「あまり時間を掛けないし、決して手は離さない。セラフィーナの護衛として同伴しよう」
「うん、問題ないよ。それなら許可するから」
「うーん、デートっぽさが消えてしまいましたね。って待って待って、リチャードさんまたほっぺた伸ばそうとしないでください調子に乗りました御免なさい御免なさいぃッ!」

74 名前:ミニ文章(2/2) 投稿日:2015/04/07(火) 23:32:21 ID:tnykctHk
賑やかに二人が出かけていった。
プロンテラの大通りが桜並木になっているから、往復して戻ってくるコースだろう。
人通りも多いし、まだ大勢の目がある時間だ。

「って、心配しすぎかな」

扉をノックすると、中から返事があった。

「僕だけど、入っていいかな」
「ん。」

扉をあけて入室すると、アルケミストが忌々しそうに紙の束をめくっていた。

「率直に言うとだな、紅男」
「うん」
「無理だ」

やっぱりかー、と天井を仰ぐ。
予想はしていたが、はっきりいわれると、さすがに諦めが優る。

「材料は6割判明したが、薬品以外も使われていた。魔力反応もあったくらいだ」
「さすがだなー、ヘルトルド君」
「これ以上は辿れない。回復手段も手詰まりだ」
「やはり時間経過しかないか。助かったよ、僕じゃなにもわからなかったから」

自嘲気味に告げると、アルケミスト――ヘルトルドは視線を鋭くする。

「あのな、俺も結局はわからなかったんだぞ?」
「薬の知識が高い『専門家でもわからない』ということがわかったんだ。
特効薬が作れないなら、人間のもつ回復力に僕は望みをかけるよ」
「そうか」
「ヘルトルド君、ありがとう」
「ん。」


<了>

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