掲示板に戻る 最初- 前5 次2 前1 次1 最新5

◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

[93:ノビ&ウィズ:4(おしまい)(2009/10/11(日) 19:55:37 ID:zUjjg4T.)]
口元が緩むノービスに、ウィザードが気付いた様子はない。
それでも、ふと何かを思い出したかのように、彼はノービスに声をかけた。
「おい」
「何ですか?」
にやけた表情を慌てて取り繕って、ノービスは答える。
窓の中のウィザードは、自らの肩に置かれた手と、ノービスの顔を交互に見やってから、こう尋ねた。
「お前、本当に揉んでるのか?」
「……はい?」
予想しなかった質問に、ノービスは軽く瞬きした後聞き返した。
「えーと、結構力入れてると思うんですけど」
ノービスが呟けば、手が乗せられたままの肩を、ウィザードは竦めてみせる。
「さっきから全然感じないんだが」
心底不思議そうな表情を見せたウィザードに、ノービスは一瞬硬直した後、大きくため息を吐いた。
「そりゃあ先輩、肩凝り過ぎて、感覚おかしくなってるんですよ」
渾身の力を込めて、ノービスはウィザードの肩を掴む。しかし、ウィザードは全く表情を変えなかった。
「……本当だ」
「本当だ、じゃないでしょ!」
揉むのを止めて、軽く叩きながらノービスが言う。
「次からはこうなる前に言って下さいよ!」
つまるところ、ウィザードは気にしていないのではなく、気付いていないだけだったのだろう。
浮かれてしまった自分が、なんだか随分と情けなく思えて、
ノービスはやけのようにウィザードの肩を叩く自分の手へと視線を落とした。
だから、彼は気付かなかった。
窓ガラスに映るウィザードが、気持ち良さそうに目を細めていたことに。


掲示板に戻る 最初- 前5 次2 前1 次1 最新5
NAME:MAIL:

read.cgi ver4.20 by GlobalNoteScript (2006/03/17)