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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

[66:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2006/03/06(月) 22:03:26 ID:PbA83NXw)]
目を塞いだのは、間違いなくノービスの手の平である。
額にあてられていた手が、瞼を押し下げるように滑り落ちたのだ。
「……見えない」
文句を言えば、ノービスはだって、と口を開く。
「見えたら本読むんでしょ? 熱上がりますよ」
「そんな簡単に」
「体弱い人が無理しないの」
ウィザードの反論を遮るようにして、ノービスはそう言うと、
反対の腕で、ウィザードの上体を椅子の背ごと抱きしめた。
「おい」
「体冷やさないようにしてるんじゃないですか」
まだ冬なんだし。そう言われれば、ウィザードも反論が出来ない。
ならば先に窓を閉めろ、と言おうとして、けれどウィザードは口を開いただけで止めた。
何も言わずに口を閉じると、ノービスが笑う気配がした。
ノービスの手の傍、ウィザードの鼻先を、穏やかな風が吹き抜けていった。
暖かい風は、微かに花の香りがするようだった。
今すぐではなくても、きっとそのうち、春がくる。
けれど、あともう少し。
もう少しだけ、冬が続けば良い。
そうすれば、まだ背後から伝わるぬくもりを、離さない為の言い訳が出来る。
動けないまま、ウィザードはそう思った。


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