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【アラームたん】時計塔物語 in萌え板【12歳】

[336:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2009/05/18(月) 01:16:04 ID:xtivYAiU)]
331、333、334続きです。
スレに人がいた痕跡をみて、涙がでそうです。
勝手やらせてもらってすみませんが、まだ続きます。

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「最後の攻勢をかけますっ!
各員―もう少しです、最後まで気を抜かずお願いしますっ!!」

塔の隅々にまで、すべてを指揮統括する錬金術師の声が響いた。
塔内の人々は若干のざわつきの後、その声に答えるように自らの作業に集中した。

「後、少し…。」
錬金術師の目の前のスフィアに、次元の穴に沈みつつある超兵器が映っていた。
その呼び名が過去のものであるかのように、かの兵器は塔の力に屈しようとしていた。

その姿を見守る軍勢もその姿に安堵の視線を送っていた。
かの兵器に傷つけられた体と世界はすぐには回復しないだろうが、自らを苦しめた、
それの苦しむさまはせめてもの慰みだった。
それは曇り空から差し込んだ光のように、全ての未来に差し込んだ光のようだった。

だが、それとは違う視線を送るものがいた。

人の軍勢のとある一部隊が、ゆっくりと動き出す。
戦いで重い体を引きずり、歩くたびに重苦しい鎧が擦れる鈍い音がした。
それに気がついた人の将校がそちらへ視線を向けつぶやくように声をかけた。

「悪いな、もうひと働き・・・頼んだぞ」
一部隊はゆっくりとその将校の横を通りながら、静かにうなずいてそれに応えた。
ゆっくりと超兵器を見つめる軍勢の間をすり抜け、一路塔へと向かう。
押し黙り行動する姿にその別行動の隠密性が見て取れた。

押し黙り行動する姿にその別行動の隠密性があった。
途中ちらりと見やる超兵器の姿に、ほかが感じているような安堵はなかった。
密命を受けたその身には、苦しむ超兵器の姿が禍々しくしか見えない。
それこそがこの命令の本質だったから。

その人の部隊は予め周到に用意された道をたどり、苦もなく塔内へと侵入した。
そこまではまったく予定通りだった。

「―どこへいこうというのだね?…プロンテラ騎士団の諸君?」

塔へ入ったところで、同じく秘密裏に進入したのであろう他国の一団に会うまでは。

2国の騎士の一団が、塔内にて邂逅する。

「―貴様ら…いや、貴公らはシュバルツバルトの騎士団か…」
"シュバルツバルトの騎士団"と称された騎士たちが、沈黙を持って応えた。
応えずとも、鎧に刻まれた紋様、己ずから背負いしエンブレムがそれを示していた。

"プロンテラ騎士団"と称された一団がうやうやしく言葉を続けた。

「目的は…いや、聞くまい。おそらくは我らと同じであろう?」

互いはゆっくりと剣を抜いた。言葉の先に切り結ぶ運命だけを感じていた。

「…結構。立場は違えど我らのやることは一つ、王と国と臣民へ忠を尽くすのみ」
「次の次の戦争のため、超兵器をも退けるこの塔をみすみす他の勢力へと渡すなぞ…」
「…まかり通らぬもの。」

同じ意思が互いの口をついて語られる。互いに剣を構え、互いににじりよる。

「退けは…せぬか、お互い?」「…そのとおり。」

互いの意思を確認し、最後にそれを締めるかのように互いの剣が切り結ばれた。
硬質な物と物とがぶつかり合う音だけが、静寂の塔内に響いていた。


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