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【憎悪と狂気】バトルROワイアル 十冊目【恐怖と絶望】

[11:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2007/03/26(月) 18:47:34 ID:cPCbeqis)]
263.集いし混沌(三日目・午前)


「おねえちゃん・・・?」
木陰で目が覚めたとき、♀ハンターはひとりだった。正確にはひとりと一羽、側には彼女の愛鳥であるふぁるが寝転がっていた。
♀ハンターは♀スーパーノービスの死を直接確認したわけではない。しかしそれでも脳裏に鮮明に刻み込まれた映像は、胸を刺し貫かれて苦しそうに、それでも己の為に笑ってくれた血濡れの♀スーパーノービスで、目を覚ましたばかりの♀ハンターの頬の乾いた涙の跡がそれをしっかりと教えてくれていた。
「ふぁる・・・・・・」
傍らでうずくまって眠る愛鳥の羽根を柔らかくなぞる。先のミストレスの電撃により、黒く焦げ付いた跡が生々しい。ぴくりとも動かないが、ふぁるの体はまだ暖かかった。生命の脈動を確かに感じることに、少しだけほっとする。
♀ハンター自身も全身がひどく痛むのだが、思考回路は怪我の痛みなど届かないところでぐるぐると回っていた。
あのあと、どうなったのか。ミストレスは、他の人たちは、おねえちゃんは。なぜ自分だけがこんな場所にいるのか。
わかるはずもなかったが、それでもある種の予感めいたもので、彼女は♀スーパーノービスがもう無事ではないのだろうと悟る。
「ふぁる・・・・・・あたし、あたし・・・・・・ひとりになっちゃった・・・・・・」


     *  *  *


気絶した♀ハンターを抱えて、仲間のもとに帰ろうとしていたはずの♂プリーストは、♀ハンターの目を覚ました木陰より少しだけ離れた広場のような場所で、パピヨンと対峙していた。走る♂プリーストの前に突然現れ、強襲してきたのである。
「っくしょオ、あと少しであいつ等のいた辺りだってぇのに・・・」
♀ハンターとふぁるを一人にしておくことは危険だったが、気絶中の彼女達を背負ったまま逃げ切ることはおそらく不可能だったし、庇いながら戦ってどうにかなるとも到底思えなかった。最も、ひとりで戦ったところで眼前の相手に敵う保証もないのだが。
どうにか♀ハンターとの距離を離すことには成功したものの、既に♂プリーストの全身はパピヨンが楽しそうに振るう触覚に幾度も切り刻まれ、先に負っていたダメージと合わせて全身ぼろぼろである。既にヒールを使えるだけの魔力も底をつき、荒い息で♂プリーストは愚痴を吐き棄てた。
「ったく、この島はバトルロワイヤルの会場じゃなかったのかよ。なんでこんなうじゃうじゃ魔物がいるってんだ」
「あっはは、アンタの血全っ然おいしそーじゃないけど、折角だから飲んであげようってんじゃん。さ、じっとしてる!」
「っくそ、喋るパピヨンなんざ聞いた事ねぇってんだ、よッ!」
ふらつきながらマイトスタッフを振り下ろすが、その一撃は空しく大地を叩き、逆にその背中をパピヨンの触覚が薙いだ。
「が・・・!!」
ぶっ飛びそうになる意識を、根性で据わらせる。
(畜生・・・・・・こんなとこで、終わっちまってたまるかよ・・・・・・・・・・!! 近くにあいつ等がいる筈なんだ、どうにかしてあいつ等に知らせられりゃ・・・・・・!!)
「あっははははは、ホラホラそんな飛び散らせちゃったら勿体ないじゃーん!! アタシが飲めるくらいの血はちゃんと残しといてよねっ!!」
二撃、三撃。パピヨンの真紅の触覚が♂プリの返り血で益々鮮やかに、さらに。
その時、♂プリが四股を踏むように己が作った血溜りを、大地を、ずしん、と踏みしめ、

「うお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

迸る、全身全霊の絶叫。
そして、♂プリは力なくだらりと両手を下げた。からんからん、と手から離れたマイトスタッフが転がる。
パピヨンも一瞬目を丸くしたが、
「何さっ、もう! びっくりしたじゃん!!」
触覚の一撃が♂プリの左脇腹を抉る。
そして、♂プリはついに地に膝を着いた。


     *  *  *


「うお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙おお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙――――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

♀ハンターの耳に飛び込んできたその叫びが♂プリのものであると、彼女にはわからなかった。いや、仮にそれがわかったとしても、彼女に♂プリが危険な人物であるか否かの判断はできなかった。
それはただ、♀ハンターには恐怖が音として具現化しただけの存在として映った。
今はもう、頼りになる♀スーパーノービスはどこにもいない。ふぁるも翼を傷めて目を覚まさない。近くになにか、恐ろしいものがいる。
「・・・・・・やだ・・・・・・!!」
♀ハンターの全身を恐怖が駆け巡る。恐怖だけが体を支配する。
「やだ・・・・・・やだ・・・・・・!!」
目に涙を浮かべ、♀ハンターはパニックになりながらもふぁるを抱え上げると、先程の叫びが聴こえてきた方向とは逆の方へ、ふらつきながらも駆け出した。


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