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悪ケミハウスで4箱目

[469:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2014/06/27(金) 18:26:36 ID:e4siE63w)]
父バフォの前には自身の数倍はあろうという巨躯のバフォメットが座していた。
その体から発せられる禍々しい瘴気や魔素と併せ、その圧倒的な威圧感には、たとえ熟練の冒険者でも
数秒とその場に居られぬ程であろう。
バフォメット氏族において『バフォメットの中のバフォメット』と呼ばれ、最も古い歴史を持つツィーゲ家は
魔界においても屈指の実力者であった。

665世「ふん。この儂が衰えたじゃと? 笑止! 今でも貴様を組み伏せるのに指1本あれば十分よ」
父バフォ「やれやれ。どうやら相手の力量すら量れぬほどに衰えたか?」
665世「ぬかしよるわ小僧が。『暴君』などと呼ばれいい気になって儂に挑み、手も足も出ずに両角を
    叩き折られ無様な姿を晒したのを忘れたとみえる」
父バフォ「くくくっ。幼体(Jr時代)のワシの角を折ったのをそんなに自慢気にしておったとは知らなかったぞ。
      そうそう、当時は幼体から成体の角へ生え変わる時期でな。ぬしの魔素を喰ろうたお陰で後日
      立派な角を生やすことが出来て助かったわ」
665世「ふん。噂で聞いておるぞ。貴様、人間の女を妻に迎え、あまつさえ子まで成したそうではないか。
    人間ごときに媚びへつらうとは、魔族の面汚しよな」
父バフォ「ふふふ。器の小さきことよ、665世」
665世「……なに?」
父バフォ「魔族・人間という種族の隔たりを超え、もっと広い世界を知ろうとは思わぬのか?」
665世(……広い世界、だと)

    ───父上、我はもっと広い世界を知りたいのです───

665世「……何が広い世界よ。魔界に馴染めぬはみ出し者の言い訳にすぎぬではないか!」
父バフォ「確かにワシは強者を求め魔界を飛び出したはみ出し者よ。だが、閉じた魔界の未来を憂いて
     新たな道を模索した者もいるのではないか。665世よ、その者をそなたは知っているはず」
665世「………」
父バフォ「……665世よ。『ラルフ』は今、我が眷属と共に在る」
665世(!!!)
父バフォ「まだあ奴なりに道を模索している所なのだ。しばし待ってやることは出来なかったのか?」
665世「……それは出来ん。我がツィーゲ家は代々バフォメットを束ねるもの。その次期当主が
    いつまでも不在であっては示しがつかぬ」
父バフォ「……そうか。まあ良い。今日は666世の当主就任を祝いに伺ったまで。後で極上の蜂蜜を
     届けるとしよう」
665世「……待て。あやつは……息災か?」
父バフォ「ああ。我が眷属に振り回され、忙しい日々を過ごしているが、な」


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