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◆みんなで創る小説Ragnarok ♂萌え2冊目◆

[7:名無しさん(*´Д`)ハァハァ(2005/06/20(月) 02:46:44 ID:U4r/Agns)]
「こんにちは〜」
 銀髪の可愛いブラックスミスの挨拶に、スイートジェントルを被ったブラックスミスと、狐面のブ
ラックスミスが応えました。
「よぉ」
と、スイートジェントル。
「こんちゃ〜」
と、へらへら笑いながら狐面。
 俺の存在に気付いたのは狐面のブラックスミスが先でした。
「ディック、今日は変わった売り物を持ってきてるんやね」
「商品じゃないよ。気分悪そうだったから、ここで休ませてあげようと思って」
 得意げな銀髪ブラックスミス――ディック――に対して、スイートジェントルのブラックスミスが
溜息をつきました。
「……人間を犬猫のように拾って来るなと言っているだろ」
 彼はわざわざ俺に向かって迷惑をかけた、と頭を下げてきました。
「いえ、助かりましたから。たぶん、ディックさんが来なかったら俺は道端で倒れてましたし」
 ディックさんに助けられながら、俺はカートの中から木陰に移動しました。クッションが差し出さ
れましたが、丁重に断りました。さすがに、初対面の人にそこまでして貰うのは心苦しいです。
「これでも飲んでおきいや」
 差し出されたリンゴジュースはありがたくいただくことにします。
「わての名前は、シコン。向こうで斧磨いとるのは、リカルドや。これも何かの縁や。どうぞよろし
く」
 シコンさんの言葉に合わせて、スイートジェントルを目深に被っているリカルドさんが軽く会釈し
ました。ディックさんはにこにこと笑っています――やっぱり男とは思えない可愛らしさです。一見、
アンバランスで変わった人たちですが、この三人は皆悪い人ではなさそうです。
 ――はて、リカルド、ディック、シコン……どこかで聞いた覚えがあります。けれど、熱が再び上
がってきた頭では、うまく思い出せません。
「無理をするな。休め」
 リカルドさんが、何かひんやりとした物を俺の頭の上に乗せてくれました。冷たくて気持ちいいん
ですが、何なのか気になります。
「風呂敷の中に砕いた氷片を入れただけだ。安心しろ」
 リカルドさんは、俺の不安の意味をすぐに察してくれました。凄く大人で格好いい人だと思ってし
まいました――俺も、もう少しこんな風だったら、ルイスも……。
「リカルドの風呂敷は防水加工だから安心だね」
 露店にいろんな種類のぬいぐるみを並べているのはディックさん。
「氷片……亀島に行くなんて正気の沙汰やない」
 あんな所には怖くて行けへん、とぼやいているのはシコンさん。
「シコン、何を言うかと思えば」
 呆れたように溜息をついたリカルドさんに、シコンさんは言います。
「わては銭を儲けるのが好きなんや。戦うなんて怖くてでけへん」
 その言葉に対して、リカルドさんは無言で肩を竦め、ディックさんはあははと笑っています。
 どうやらシコンさんは戦うのがあまり好きでないようです。
 俺としてはそれもありだと思います。ブラックスミスは商売もできますし。
 しばらくの間、俺は三人が露店している様子を眺めながらうつらうつらしていました。
 物凄い音が聞こえるまでは。


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